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蒼穹のカンヘル
三十六枚目
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「さぁ! やってみるのじゃ!」

目の前には、九重のモフモフの尻尾…。

右手をだして…止める。

触りたい…けど龍の腕じゃダメだ。

傷付けてしまう…!

だから…だから!

「この手が戻らなければ…九重の尻尾を触れない…!」

手が、縮んでいく。

龍の手が、縮んでいく。

刺々しい凹凸が消え、滑らかなシルエットへと変貌する。

やがて、色が変わった。

銀色から、肌色へ。

「や……やった! 変化できた! 人間だ! 人間の腕だ!」

左手も、人間の腕にする。

「く、九重! 本当にさわってもいいか!? 九重のモフモフの尻尾触ってもいいか?」

「勿論じゃ!」

九重の尻尾に、触れる。

ふわふわして、柔らかくて、モフモフだ。

最上級のシルクように滑らかなで、金糸のように輝いている。

「んぅっ…」

「ご、ごめんっ! 痛かったか九重?」

「全然! 篝のさわりかた、優しくて気持ちいいのじゃ!」

「そりゃよかった…」

しばらく九重の尻尾を堪能した後、今度は全身変化をしてみる事にした。

感覚は掴めた。

あとはやるだけだ。

「変化」

肩甲骨が、むずむずする。

翼と尻尾が、縮んだ。

脚も龍の脚じゃなくなった。

首の鱗も肌に沈んだ。

髪は銀のままだが、まぁ、仕方ない。

「やった! やったぞ九重!」

立ち上がり、九重とハイタッチする。

「ん?」

九重の視線がなぜか下へ…………………。

あ。

「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

一つだけ言っておく。

俺は悪くねぇ。
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