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レーヴァティン
第八十四話 ローマに戻りその十一

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「だからな」
「塩もやな」
「手に入れたいな」
「むしろあれやな」
「金や銀よりもな」
 それこそというのだ。
「手に入れたいな」
「金や銀はなくても生きていける」
 美奈代は言い切った。
「貨幣は必要でもな」
「こっちの世界じゃ紙幣だってあるしな」
 言い換えるとそこまで経済や社会が安定しているということだ、貨幣の価値は社会の安定が保証するものなのだ。
「それじゃあな」
「金や銀はなくてもな」
「本当に生きていけるな」
「しかしや」
「塩がないとな」
 まさにとだ、久志はまた言った。
「人間生きていけないからな」
「塩は確保するんやな」
「勿論そこで暴利は得ないぜ」
 久志はこれは絶対にと言い切った。
「塩を独占して値を吊り上げるとかな」
「そうしたことはせんな」
「ああ、けれど塩は持っているとな」
 人間の生活にどうしても欠かせないものだけにというのだ、人間は塩分なくして生きていくことは出来ないからだ。
「それだけで大きいからな」
「欲しいな」
「絶対にな、だからな」
「塩は第一やな」
「金や銀よりもな」
 それこそという言葉だった。
「欲しいものだよ」
「うん、騎士団でもお塩はお城や砦に貯蔵しているよ」
 剛は進太を見ながら話した。
「どの騎士団でもね」
「左様、食料そして水と同じくでござる」
 その進太も答えて述べた。
「塩もなければ」
「どうしようもないからね」
「人は生きていけないでござる」
「だからお城や砦にも貯蔵しているね」
「いざという時に備えて」
 戦、特に籠城戦にである。
「そうしているでござる」
「だからだね、お塩は」
「金山や銀山よりも銅山とな」
「塩山だね」
「それ手に入れていくぜ、勢力を拡大したら」
「それがいいね、特にここ海がない浮島だしね」 
 湖、そして池や川しかないのだ。この島にある水は全て淡水なのだ。
「それだったらね」
「余計に塩山が大事だからな」
「海がないからね」
「海があったらな」
 そこからとだ、久志は自分達の世界のことから話した。
「塩田出来るけれどな」
「そこからお塩作れるけれどね」
「それが出来ないからな」
「仕方ないよね」
「塩山しかないからな」
「幸い凄い塩山一杯あるし」
「ザルツブルグとかな」
「ザルツブルグは塩の城若しくは街という意味です」
 良太がすぐに日本語訳をしてきた。
「ドイツ語で」
「まさに塩の街か」
「私達の世界の現代ではモーツァルトで有名ですが」
 天才と言われたこの音楽家の出生地であり音楽祭が毎年開かれて世界中から人が集まっているのだ。
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