暁 〜小説投稿サイト〜
魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第15話 主任看守会議だよっ! 全員集合っ!!
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 次の日、メイド兄弟は四舎に送られた。
 だが、メイド兄弟を引き渡す時―――

「痛いいい……」

 また翁に叱られた。殴られた。
 現在、看守室で頭を抱えながら机に突っ伏している。もう何もやる気が出な―――

「琴葉! 主任看守会議だって!! 他の主任看守にも、もう連絡は回ってるよ!」
「マジで!? 窓閉めといてね!」

 かったのだが、窓を開けて、窓枠に足を掛ける。目の前には海。落ちたら面倒臭いことになる。が、今はそんな事を気にしている時では無い。
 壁に手を置きながら窓枠に立ち、体を半回転させる。この辺りで魔法を使っても面倒臭いことになるので、自分の力だけで跳ぶ。
 手を伸ばして、どうにか一舎の屋根を掴む。そして、勢いを付けて屋根に飛び乗ると、そのまま目の前に聳える、豪華な"塔"へ向けて疾走する。

 間に合え―――

「あ−! この刑務所はデカいんだよオラァァァアアア!!」

 数分走って、ようやく塔の近くまで到達する。そこで、再度全力で跳び、窓の縁に掴まる。それを数回繰り返すと、頂点付近に到達する。最後は勢いで窓を割り、中へ入る。

「えっ……」

 中に居た看守が、なんだコイツみたいな表情でこちらを見てくる。これでも主任看守部長だこのヤロ―――


「オラァァアアアア!!!!」
「あぶしっ」


 背中に強い衝撃。力を抜いていたため、ドミノ倒しの様に床に顔面を強打する。絶対出血して―――


「ダァァァアアアアア!!!!」
「へぶっ」


 全身に鈍い痛み。……何かに轢かれたんですけど。絶対床にめり込んで―――


「貴様等、何をしているのだ」
「あでっ」


 背中に重さ。……踏まれたんですけど!? てか、上で止まるな!!


「いってぇなクソがぁあああああ!!!!」


 何故蹴られて、轢かれて、踏まれなきゃいけないんだ。私は主任看守部長だぞ!?

 窓の方を見ると、そこには主任看守が三人、澄ました顔で立っていた。


「手前が其処に突っ立ってたのが悪ィんだろうが。オレは注意したぜ?」
「ガラス越しに聞こえるか!」

 赤朽葉色の、長めの髪を横に垂らしたヤツは、前髪の奥から覗くサファイアの様な瞳を爛々と輝かせ、こちらを見る。黒い長外套を肩に掛けたそいつは、二舎の主任看守・橙条(とうじょう)雅人(まさと)


「"まーさん"、そんなに挑発するなって! なっ!? "こっちゃん"もそんなピリピリすんなよ!」
「いだっ……背中叩くな馬鹿力!」

 青い、ツーブロックリバースショート―――本人がそう言わないと怒るのだ―――に整えられた髪に、琥珀色の瞳をしたヤツが、バシバシと私の背中を叩く。橙条の事を"まーさん"と呼び、私の事
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