暁 〜小説投稿サイト〜
魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第3話 本当はギャグなんです!!(今更)
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うがないじゃないか。
 鍵だって、刑務所で統一されてるんだよ。バレない程度に毎回形を変えるけど、それ以上変えるとバレるんだけど。バレたら私、クビになるかもしれないし。減給とかもうやだもん。
 明らかに看守が不利な状況で、魔法も使えるんだから、しょうがないじゃん。

「おーい、琴葉ちゃーん?」

 ……"魔法も使えるんだから"?
 魔法が使えなかったらどうなる?

「琴葉ちゃー―――」
「それだッッッ!!!!」
「ぐはっ」

 ずっと下を向いて考えていたため、顔を上げた際に、九〇四番の顎に、私の頭突きがクリーンヒットした様だ。

「貴様等、もう魔法を使うなっ!!」
「「「嫌だ」」」
「ふふふ……言うと思ったぞ! だから、此れをくれてやるっ!! 《魔法無効化》!!」

 此の房の周りを囲う様に、魔法を無効化するバリアを、魔法を使って張る。このバリア内だったら、魔法を使う事は出来ない。

 魔法には様々な使い方があり、此れは"魔法を無効化する"と言う"結果"を生み出すモノを、バリアの様な形にして、部屋を囲うと言う使い方だ。

 魔法は、あくまで"結果"として世界に現れるモノだ。一度現れた結果を曲げることは難しい。

「あ、ずるい!!」
「こっちだって!」

 それは無理である。
 なぜなら、私の方が強いからである。

「ふっ……此処でやりあっても、唯の時間の無駄だ。精々、足掻くといいさ。生憎と、私は中学男子の様なくだらない喧嘩に、興味は……」
「へー、逃げるんだぁ」

 踵を返してすぐに、九〇四番のへらへらとした声。如何もイラつきが収まらず、私はもう一度九〇四番に向き直り、房の鉄格子を思い切り掴んだ。

「あ"? 誰に口聞いてんだ手前殴るぞあ"あ?」
「ハッ! 殴れるモンなら殴ってみればぁ? このイケメン担当の俺の顔を傷付…………ぶぇふ!!」

 思い切り鉄格子の間から腕を伸ばし、九〇四番の顔面に拳を入れる。後ろで八九番と四番が俯きながら肩を震わせ、耳まで赤くなっていることから、大爆笑するのを堪えているのだろう。

 ついでに、九〇四番はイケメン担当では無い。
 何故ならこの房には、女囚人共が寄って集る、"ミステリアスイケメン(レン)"と、"俺(僕)様系イケメン(四番)"が居るのだから。因みに、九〇四番は"残念イケメン"らしい。一番興味は無いが。
 なので、この房にイケメン担当を付けるとしたら、レンか四番のどちらかになる。

「看守。この房のイケメン担当は僕かレンだと思わないか? あと、ハクは癒し担当で、グレースは変態担当」
「え? ボク癒し担当?」
「変態担当って何!? シンってば酷くない!?」
「鼻血出してる中学生男子並みの喧嘩をするヤツがイケメン担当とか有り得無く
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