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レーヴァティン
第八十三話 ローマに戻りその十一
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「結婚の自由なんてな」
「言うてもな」
「難しいな」
「そやな、けれどやな」
「それでもだよ」
 久志としてはというのだ。
「やっぱりな」
「結婚の自由は法律として定めるか」
「あと階級自体がな」
 貴族だの平民だのいうそれがというのだ。
「幸い奴隷いないけれどな」
「まあ奴隷についてはね」
 この制度については淳二が微妙な顔で話した。
「おいら達現代人としてはね」
「抵抗あるよな」
「幾ら当時の社会は今と違ってね」
「奴隷が実際は高価な財産で丁寧に扱われていてもな」
 南北戦争前のアメリカでも実はそうだった、奴隷一人が今で言う高級車一台分位の価値で粗末には扱えなかったのだ。
「それでもな」
「抵抗があるからね」
「だからな」
「受け入れにくいね」
「どうしてもな」
「それに日本では」
 順一も言ってきた。
「古代はありましたが」
「大体律令制出来た頃からはだったよな」
「奴隷は存在しませんでした」
 奴婢と言われる者達はというのだ。
「確かに山椒大夫の様なことはあったでしょうが」
「それでもな」
「制度としてはです」
「奴隷はなかったよな」
「そうです、むしろ政権の方で否定していました」
 奴隷自体をというのだ。
「豊臣秀吉然り」
「あの人日本人が海外に売り飛ばされて奴隷にされてるって聞いてびっくりしたんだよな」
「それで急いで彼等を買って連れ戻しました」
 そうして救い出したのだ。
「そこまでしました」
「それ何気に太閤さんの善行の一つだな」
「それをキリスト教の宣教師達が行っていたので」
「キリスト教禁止につながるんだよな」
「徳川家康も見ていたことは間違いありません」
 秀吉がそうして動いていたことをだ、彼はその頃常に秀吉の傍にいて天下の政を担っていたからである。
「そうしてです」
「江戸幕府もキリスト教禁止したんだな」
「教えの問題ではなかったのです」
 キリスト教の教えが幕府の統治の邪魔になるから禁止したというのは今では通用しなくなっている主張であろうか。
「教え程度では」
「幕府も禁止しないか」
「そこまで頑迷でも不寛容でもなかったです」
 幕府も徳川家康もというのだ。
「日本人は欧州よりも階級意識が低かったので」
「向こうの貴族制度よりもな」
「士農工商があっても」
 よく言われる江戸時代の身分制度だ。
「しかしです」
「この間の移動って結構あったしな」
「農民も名字帯刀を許されれば」 
 それでというのだ。
「武士になっていましたし」
「そう思うとな」
「江戸時代の階級は欧州より緩やかで」
「キリスト教の教えもな」
「受け入れてもよかったです」
「神の前に平等とかな」
「それ位は何とでもなりました」
 幕府
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