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【鬼灯の冷徹】雷の神獣は地獄で仕事してるらしい
第1話 ざっくりな日常だよ、雷獣さん
その1
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5番目の裁判が行われる場所、閻魔庁。

そこの医務室では書類仕事に追われているとある人物がいた。彼は人でも鬼でもない『妖怪』。
医務室の医師と第一補佐官の補佐役を兼任している彼の執務室は医務室なのだ。

実に言いづらい、実に分かりにくい。
毎度毎度そんな事を考えてしまう妖怪の彼。
別のことを考えようとして目の前の書類の量から現実逃避をする。

だが、ふと顔を上げればついつい消しとばしたくなるほどの書類の山が彼の目と精神にダイレクトアタックをかましてくる。そのダイレクトアタックを食らうたびに手に持っている万年筆がメキメキと明らかにヤバい音を立てる。酷い時はそこら一体に放電しそうになる。

さて、ここまでイラつく彼の正体を明かそう。
彼は雷を司る神獣『雷獣』である。ちなみに『雷獣』は固有名称なのだが別にまた『刹』という固有名称がある。だが基本的には『雷獣』の方を多用される。ならもはや固有名称2つもいらんだろ、と此処で再び雷獣の愚痴が入る。

普段心の中でも愚痴はあまりない雷獣の愚痴がここまで多いとなると負のオーラもなぜか見えてくるようになる。しかもくっきりハッキリと。その負のオーラは医務室のドアのかすかな隙間から漏れ出している。それ故に前を通る獄卒達は医務室を凝視しながら通り過ぎていく。

そんなもはや医務室といってもいいのか微妙な医務室をとある人物が入って行った。

雷獣の上司である閻魔大王の第一補佐官、鬼神『鬼灯』だ。

鬼灯は、医務室の執務用の机に座り負のオーラ垂れ流しにしながら書類仕事をする雷獣を数秒の間見つめてから近づいて声をかける。

「雷獣さん、負のオーラが垂れ流しになってますよ。大丈夫ですか?」

「いや、大丈夫じゃないから負のオーラ垂れ流しになってるのではないか?まあ、生きてるから大丈夫だろうな多分。」

鬼灯が声をかけてから数秒の間が空き顔を上げる雷獣。中性的で整った顔の眉間にはシワがよっている。

「この垂れ流しになっている負のオーラ何とかなりませんか?医務室の外まで垂れ流しになっていますよ。」

「だって書類が1分間に10回の感覚で私にダイレクトアタックしてくるんだもん。」

要するに『書類多すぎ閻魔大王どんだけ書類溜めてたんだよコノヤロー』ということである。
鬼灯は理解したのか一度頷くと『同感です。』と言って雷獣の頭を撫でた。

雷獣は座っているからとは言えど、立っている状態でも鬼灯より背は低い。それ故に撫でられることが多々ある。気分によっては雷獣は鬼灯の手を払いのけたりそのまま撫でられているが今回は後者らしい。

「この書類仕事が終わったら後で甘味奢りますよ。」

「よし、頑張ろう。」

いとも簡単につられてしまった雷獣だった。







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