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異世界転移=主役とは限らない?
異世界に馴染んでしまったあたりの話
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 ──どこまで話したっけ?
 あぁ、そうそう。魔法学校に入ったあたりだ。
 実際のところ、そんなに悪いところじゃなかったよ。そんなにはね。



 魔法学校の寮に到着した日の夜、俺たちは食堂に集められた。
 長方形のテーブルを囲んで座らされた。短辺側には、異世界人の俺でも分かる程度には年老いていそうな男が座っていた。黒髪に暗い色の瞳。同じように暗い色のローブを身に纏っていた。その格好には興奮したよ。魔法使いがいる、ってね。
「ようこそ、ペンドレルヴェル魔法学校へ」
 壮年の男は見た目どおりの重たい声で歓迎の言葉を言った。
「これから君たちには魔法というものを学んでもらう。それと同時に、この世界についても」
 そう言った後に続いたのは細かい説明だった。要は学校での生活についてさ。規律みたいな堅苦しい話もあったし、何時にどこへ行けばいいか、みたいな具体的な話もあった。
 そのときの話を詳細に思い出してもしょうがない。大事なのは、その話の中で、俺がいた世界と何が違ったかって部分だろう。
 結論から言ってしまえば、あんまり変わらなかった。決められた時間に決められた場所に行き、決められた人間から決められた内容の教えを受ける。そこに集合する他の人間たちも──亜人種もいたけど、とりあえずは“人間”って言っておくよ──決められている。
 集団教育っていうのはどこにいっても似たようなものなんだな、と思ったよ。知的生命体である以上、多分、どこでも同じなんだろう。もしもメダカが俺たちと同じような知性を持っていたとしても、学校へ行くんだろうね……そういう童謡が、あったんだよ。
 そのときの気分は、期待と失望が半々だった。学校なんてものは退屈で嫌いだったけど、学校だって言うからには似ているのは仕方ないかと納得もできたし、教えられる内容は全然違っているだろうからね。我慢できるだろうと思っていた。
 説明が終わった後は、食事の時間が始まった。意外に思うかもしれないけど、かなり緊張する瞬間だったよ。何せ、何が出てくるか分からないんだから。食事が虫だけだったら、大変だろう?
 けど、その心配はなくって、普通の肉料理とかが出てきた。味付けの好みは色々あったけど、食べる分には問題なかった。これで、異世界での大きな問題はほとんどクリアだ。
 ──あー、うん。ちょっと嘘をついたな。いや、“ほとんど”って言ったから嘘じゃないか。うん、ほとんど、だ。
 食事時なんだから、皆、談笑していた。大半が異世界人同士だったけど、境遇は同じだから結構、すぐに打ち解けていたよ。
 他人事みたいに話すけど、実際、他人事だったのさ。俺も少しぐらいは話したけど、前に言ったとおり、人見知りでね。それなりの人数がいたから、よく話すやつを中心に会話は進んで、俺みたいなやつは取り残される。こ
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