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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 中断
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ゲーム中断後、黒ウサギの指示通りすぐに交渉テーブルの準備に移った。一輝から式神が遣わされると「今すぐに」と返し、森の中、テーブルを一つに椅子を準備しただけの場所でプレイヤー側は待っている状態である。

「それにしても」

と、そんな中。準備が終わってしまったが故の沈黙に耐えられなかったのか、それともずっと気になっていたのか。理由は分からないが、沈黙を破ったのは飛鳥であった。

「十六夜君、しっかり脱出していたのね」
「まあ、あの中で固まってたわけじゃないからな」

そして、十六夜も特に思うところもなくそれに答える。

「金属に覆われてて動きにくかったっちゃ動きにくかったが、壊せないほどじゃなかった。体感としては、時間の流れが変わってた、って感じだ」
「もはや何でもありだね、一輝」

金縛りの範囲を個人から金属塊へ変えた術ということになるのだが、それを指摘するものは一人もいないので関係ない。

「ゲーム中断前にレティシアの方も全部ぶっ壊して助けたんだが……あれはもう戦線離脱だろうな」
「そんなにマズいの、レティシア?」
「命の危機は無い。そもそもなんともないはずの物ばっかだったのに何か起こってるのがおかしいんだ」
「あー、それはあれですよ。箱庭にはおあつらえ向きな『認識』があったので、それを利用して書きかえさせていただきました」

と、その瞬間。いつの間にそこにいたのか、向かい側の席についていた湖札が答える。

「私のギフト『言霊の矢』は伝承とその源流を込め、撃ち抜くことによって霊格を貫く矢と真実になるほど騙られた物語を込め、撃ち抜くことによってその存在の定義を書き換える矢がありますから。今回は後者を利用して私たちの世界の吸血鬼に近づけさせていただきました」

なんせこっちの世界での吸血鬼の定義、よくわかんないわ撃ち抜きづらいわですし、と。めんどくさそうに話しながら和菓子を口に放り込む。咀嚼し、飲み込んで。

「あ、良かったらいります?」
「いら」
「欲しい。ちょうだい」
「いいですよー、どぞどぞ」

十六夜が拒否しようとしたところで、耀が横から瞳を輝かせて手を伸ばす。箱ごと受け取ったそれ。筆頭取り出して、同じように口へ放り込む。

「お前なぁ」
「だって今は黒ウサギの審判権限で交戦禁止状態だし。だったら、毒物も出せないじょうたいだもん。美味しそうなものは有りがたくいただくべき」
「まぁ、気を張っていても仕方ないものね。私にもちょうだい、耀さん」
「うん、どうぞ飛鳥。黒ウサギも」
「あ、ありがとうございます」

と、女性陣が続々和菓子を食べていく光景。仮にもこれから魔王との交渉テーブルが始まるというのに呑気なものだ、と呆れながらも一息つけている。

「それで?一輝はどうしたよ?
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