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戦国異伝供書
第十九話 急ぎ足その六
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「ならばな」
「この度はですな」
「このまま急ぎますか」
「そして尾張からですな」
「三河に入りますな」
「そして浜松においてな」 
 家康の今の本拠地でというのだ。
「竹千代と会おうぞ」
「ですな、では殿」
 ここで羽柴がこう言ったのだった。
「徳川殿とお会いしましたらおはぎを」
「共に食えというか」
「無事再会出来た祝いに」
「わしは酒が飲めるからじゃな」
「はい、お茶とです」
 それに加えてというのだ。
「おはぎで」
「よいな、ではな」
「そうされますか」
「そうしよう、そういえば最近おはぎを食っておらぬわ」
 信長もこのことに気付いた。
「ならばな」
「徳川殿とですな」
「おはぎを食う為にもな」
「浜松にですな」
「向かおうぞ」
「さすれば」
「このまま進むぞ、そしてじゃ」
 信長は飛騨者達にあらためて告げた。
「これからもじゃ」
「はい、武田と上杉を」
「この二つの家をですな」
「見ていくことですな」
「両家との戦まで」
「そうする、では頼むぞ」
 こう言ってだ、信長は飛騨者達を再び武田そして上杉の方に送った。そうしつつ都からさらに東に向かって行くが。
 夜はしっかりと休んでいた、その中で。
 信長は飯を食いつつだ、平手からの文を見て諸将に言った。
「ふむ、美濃も尾張もじゃ」
「落ち着いていますか」
「左様ですか」
「先程猿夜叉から北陸に入ったと文もあったが」
 長政からもというのだ。
「あちらもじゃ」
「落ち着いているのですな」
「左様ですか」
「少なくとも越前はな」
 この国はというのだ。
「その様じゃ、猿夜叉は北ノ庄城に入り」
 今現在の織田家の北陸の要であるこの城にというのだ。
「そうして上杉家を防いでくれる、そしてな」
「平手殿はですな」
「これまで万全に守って下さっていましたか」
「東の守りを」
「そうして頂いていましたか」
「有り難いことにな、爺がいてくれたからな」
 派手さはなく戦場に立つには向いていないが安定した政を行ってくれる彼がいてこそというのだ。
「安心して毛利を攻められた、そしてな」
「これからはですな」
「その美濃に戻りますな」
「いよいよ」
「では一度岐阜城にもですか」
「戻られますか」
「そうしたいが時がなかろう」
 これが家康の判断だった。
「やはりな」
「左様ですか」
「今は、ですか」
「そこまでの時はない」
「それでは」
「戦が終わってからな」
 それからというのだ。
「岐阜城に戻ろう、それでじゃが」
「はい、それでは」
「何でしょうか」
「今食っておるものじゃが」
 信長は目の前にある鍋を見た、塩と生姜で味付けをしているその鍋の中には色々なものが入っている。

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