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レーヴァティン
第七十八話 山の頂上の仙人その三

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「別にいいぜよ。しかし仙人さんは賭けは駄目なんかのう」
「いや、何かな」
「そう思ったっちゃが」
「別に違うと思うぜよ、何せじゃ」 
 ここで当季が話すことはというと。
「博打は神社やお寺でやっていたぜよ」
「この島でもそやけどな」
「それはその通りっちゃが」
「神聖な場所でこそぜよ」
「博打はしてるからか」
「仙人さんがいる場所でもいいっちゃ」
「賭けごとをしてもいいぜよ。しかも今は只の待つ間の遊びじゃ」
 だからだというのだ。
「別にぜよ」
「花札してもええか」
「そうだっちゃ」
「そうぜよ、だから今はじゃ」
「花札か」
「それをしつつ仙女さん待つっちゃ」
「そうするぜよ」
 こう言ってだ、当季は早速花札を出して仲間達を集めその場で車座を作ってそのうえで花札をはじめた。
 その花札をしつつだ、智はこんなことを言った。
「拙者どうもでござる」
「おまん随分弱いぜよ」
「お金を賭けていなくとも賭けごとは」
 それはというのだ。
「苦手でござる」
「ほんま弱いなあ」
 耕平も十回連続で最下位になっている智に驚いて言った。
「自分博打あかんか」
「昔から賭けごとは弱いでござる」
「トランプとかもか」
「ゲームでルーレットをしてもでござる」
「あかんか」
「勝った試しがないでござる」
 そこまで弱いというのだ。
「最下位が常でござる」
「今みたいにか」
「そうでござる、どうも賭け事は」
 智は苦い顔で言った。
「駄目でござる」
「まあ苦手ならな」
「しないことがでござるか」
「ええわ」
 こう智に言うのだった。
「やっぱりな」
「そうでござるか」
「博打は弱くてしたらな」
 それこそというのだ。
「破産、破滅の元やで」
「やはりそうなるでござるな」
「博打で破滅した奴多いわ」
 現実問題としてあることだ、余に博打がある限り人類はこの遊びが持つ恐ろしさから離れられないのだろう。
「それでや」
「弱いのならば」
「せんことや」
「では拙者は」
「そもそも博打好きやないやろ」
「その通りでござる」
 まさにとだ、智も答えた。
「博打はどうもでござる」
「そやったらな」
「わかったでござる」
「その様にな、けど今はな」
「お金も賭けないので」
「只の時間潰しやからな」
 それに過ぎないからだというのだ。
「何も賭けてない」
「だからでござるな」
「してもええやろ、楽しくな」
「それでは」
「十人目が来るまでな」
「遊ぶでござるな」
「そうしよな」
 こう話してだ、そしてだった。
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