暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第20話 消せない灯火
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いた。

 ギリギリのタイミングで間に合ったセレシアの鞘から抜かれてない剣が、相手の短剣を防いだ。鍔迫り合い状態になっている刃を挟んで、問答が交わされる。

「邪魔だからここであたしを殺そうってわけ?」

「……だとしたら?」

「死ぬわけにはいかないでしょ!」

 セレシアが刀身に魔力による炎を纏わせ、気合いをこめるように押した。いつもなら相手によってはパワー不足でびくともしないのだが、今回は相手がその押しに逆らうことなく後ろへと下がったことで、結果的には距離を取ることに成功した。

「『アーデ・ロックショット』」

 相手の詠唱の後、目の前から岩石砲が放たれる。今度は目の前であるため、視界に捉えるのも、身体に命令するのも容易に出来ることだった。

 しかし、行動まではそうはいかなかった。痛んだ足のせいでコンマ数秒反応が遅れ、その結果岩石砲をもろにくらったセレシアは、後方に大きく吹き飛んだあと木に激突した。

「ぐふっ……」

 頑強ではない身体に強烈な一撃は、相応のダメージがくる。口から血を吐き出したセレシアはその場に膝をつきながら、前に視線を向ける。

 なおも敵意を失わずに見つめる視線の先には、ローブ姿の男が立っている。先ほどよりも不気味さが増したように見えるその相手は、明確な敵である。

 その口から、語られてはならない言葉が語られる。

「もう一度、生きて会えるといいですね、妹に」

「!?」

 それは、決して世の中に出てはならない秘め事。知っているのは先ほど明かしたエースとミスト、それに両親と一部の親戚、あとは校長だけである。親しい友人にも言っていない。

 にも関わらず、何故その事実を目の前にいるローブ姿の人間が知っているのか。その驚きが、セレシアの目を大きく見開かせる。

 相手の方は、その姿が非常に愉快であるようだった。

「今日の夕方、君の荷物持ちをしたんでしたっけね。あの時、一緒に一枚の紙を入れたんですよ。そのおかげで、僕は簡単にあそこにたどり着けた。尾行魔法とでも言いましょうかね」

 その言葉が告げる事実は、あまりにも現実離れしすぎているように思えた。

 しかしながら、それは目の前のローブの下から現れた顔によって、現実そのものであることを決定づけられたのだった。

「なんで……あなたが……?」


 仮面を外したことで現れたのは、フローラのクラスの生徒であるエアード・ヴィラノローグの顔だった。セレシアは声こそ聞かないものの、フローラのクラスにはよく出入りしていることから姿は知っていた。

「おやおや、絶句してますね。ならもっとすごいことを教えてさしあげましょう。2週間ほど前に妹さんを襲ったロープ姿も僕です。まぁ、それ以前の生徒襲撃も含
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