暁 〜小説投稿サイト〜
天体の観測者
無限に煌めく宇宙
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匹敵する力を得ることが出来るかもしれない。
 しかし、幾ら強大な力をその身に宿していても、宿主が貧弱では話にならない。

『ウィスという奴の言う通りだ。今の一誠の状態ではもって数秒、いやそれ以下だろう。だが、それでも対価を支払えば一時的に最上にも等しい力を得るのは事実だ』

 籠手を通してドライグがウィスの言葉に異を唱える。

「どうやら前提から履き違えているようなので言っておきますが……



 






『代償』とは身に余る絶大な力を一時的に行使することを条件に生命の危機に至り、絶大な反動を背負うことです。しかし、ドライグが指す『代償』とはドライグ自身が生き延びることを前提に力を引き出すのですから、一誠という種族的にも下に当たる器を媒体にしている時点で引き出すことができる力など底が知れています」
 
 ましてや物語の主人公の様な突如の覚醒、劇的なパワーアップなど有り得ない。
 それで生き残れるほど世界は甘くない。
 
「あの場でリアスが最低でもすべきだったことはライザー側の眷属数を此方と同数に揃えることや、何らかのハンデを貰うことだったのではないですか?」

 そうしなければリアス達に万が一にも勝ち目は無いだろう。
 見ればリアスは弱々し気に表情を曇らせ、顔を地に伏している。
 今になって如何に自分達が不利か理解し始めたのだろうか。

 リアスに限った話ではないが、悪魔という種族は慢心が過ぎる傾向がある。
 相手の力量を何の根拠もなく下と見なす癖があるのだろうか。
 ウィスにとってそういった悪魔の悪魔至上主義的思考が悪魔の最大の弱点だと考えている。

「どうかお願いします、ウィス。リアスに手を貸して上げてください」

 思案するウィスに"部長"ではなく、"リアス"を助けて欲しいと朱乃は懇願する。
 
「私からもお願いします、ウィス。……部長がいなくなるのは嫌です」

 小猫も寂し気に、ウィスの胸に両手を当てながら、同じく懇願する。

 本当にリアスは主思いの良き眷属に恵まれたものだ。
 ウィスは微笑し、仕方無しとばかりに立ち上がる。
 
貸し一つ(・・・・)ですよ、リアス」

 ウィスは小猫を左腕の脇に抱え、その場から姿を消失させる。
 次の瞬間、うなだれるリアスの前に現れ、小猫を抱えていない方の右腕でリアスの腰に腕を回し、抱き上げた。

「それでは行きますか」

 まるで丸太を担ぐようにウィスはリアスを軽々と抱え上げ、オカルト研究室の出口を目指す。
 突如の急展開にリアスは理解が追い付かない。

「え、ちょッ……!?」

行くって、どこに!?

 リアスは状況を理解出来ずに情けない声を上げる。
 小猫は借りてきた猫の様に大人しく
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