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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
77話:心配事
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宇宙歴790年 帝国歴481年 8月上旬
首都星オーディン リューデリッツ邸
ジークフリード・キルヒアイス

「よし、今日はここまでにしよう。しっかりストレッチをしておくようにな」

そう言い残して、シェーンコップ卿はスタスタと場を後にする。私たちはヘロヘロなのだが、まるで何もなかったかのようだ。さすがに汗は滲ませてはおられたが、歴然とした差を見せつけられる思いだ。だが、私はラインハルト様に内密でリューデリッツ伯から意図は聞いている。実際に戦地に赴くことがあれば、シェーンコップ卿クラスの使い手が敵にいないとも限らない。『幼年学校の首席程度で、実戦で通用するとは限らないとしっかり身体に覚えこんでもらう』と伯はラインハルト様におっしゃっていたが、意図を知っている私でもかなり辛い状況だ。ラインハルト様は意地を張り続けられるだろうか?

事の始まりは、ラインハルト様が士官学校へは進まず、幼年学校を卒業するとともに任官したいと言い出したことから始まる。確かに幼年学校では首席だし、伯の英才教育の場でも励んできた。士官学校に進む必要があるのか?と言われれば、ラインハルト様に賛成してしまう部分もあったが、アンネローゼ様からラインハルト様をお預かりした形になる伯からすると、大人しく士官学校へ進んで欲しかったのだろう。ただ、士官学校で学べることがあるのか?という部分に関して、ラインハルト様の主張を受け入れて下さった。
伯自身が、士官学校に通う事が無いまま首席で通したという逸話をお持ちだ。強くは否定できなかったのもあるのだろう。ただし、白兵戦技と戦術シミュレーターで現役の軍人たちと手合わせする事、その場に見届け人としてアンネローゼ様を同席させることを代償として求めた。その約束が結ばれた日の夜、ラインハルト様にも内密で伯に呼び出された。

ノックをして執務室に入ると、椅子を勧められる。リューデリッツ伯は当初から私をラインハルト様の側近候補として、一人前として扱って下さるが、それは期待に応えられているからだろう。ラインハルト様の士官学校に進まないという判断は、伯の意向にそぐわないだろうし、叱責されるのでは......。と正直、怖かった。

「士官学校に進まない判断に私が怒っていると危惧しているならそんなことは無いから安心しなさい。私自身、自分の人生の歩みを早める為に、士官学校を退学しようと画策したからね。この判断を歓迎する訳ではないが、自分が通った道だからな。ミューゼル卿は優秀だし、予想以上に励んでもいる。こういう話になるのではと予想はしていた」

そこで一旦言葉を区切られた。『怒っていない』という言葉に安心しながらも、『歓迎する訳ではない』という言葉が耳に残った。つまり英才教育同様、何か対策をされるし、それを耐えきれるように、私にサポートするようにとい
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