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シュタイン=ドッチ
第二章

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「髪の毛は金や銀、赤で」
「目は青や緑、灰色か」
「やけに大きく身体つきもよく」
「獣の様に毛深いか」
「しかも毛は縮れ癖が強い」
「肌はやけに赤いとなると」
 ここまで聞いてだ、彼等は思った。それで最初に頼光が言った。彼は壮年の精悍な男で平井は若くきりっとしている。渡辺綱は背が高く口髭を生やしており面長の顔である。坂田金時は一行の中で最も元気のいい感じで顔が真っ赤な若武者である。碓井貞光はやや小柄だが素早く切れ長の目は鋭く足音一つ立てない。卜部季武は中肉中背で四角い顔にある頬髯が印象的だ。六人共一騎当千の者達である、頼光はその彼等に言ったのだ。
「鬼であるな」
「ですな、まさに」
「鬼の様な姿ですな」
「それで民達も恐れていますか」
「鬼が来たと」
「そうなのですな」
「恐らくな、しかし関白様や安倍殿のお話では鬼ではない」
 鬼そのものの姿でもだ。
「人じゃ、だからな」
「恐れることはありませぬな」
「例え鬼でも成敗してみせますし」
「彼等と会ってそうして話を聞きましょう」
「今から」
「そうしましょうぞ」
「これよりな」
 頼光は四天王と平井に答えた、そうしてだった。
 一行はその者達の前に来た、見れば宋の服を着ているが確かに髪の毛や目、肌の色それに体格や毛の質や量は聞いた通りだった。彼等は海から程近い山の中にいてそこで赤い酒を飲み獣の肉を食っていた。
 それを見てだ、卜部が言った。
「人の血や肉には」
「うむ、見えるな」 
 碓井もこう述べた。
「これでは」
「そうじゃな、これではな」
 坂田も言った。
「人を襲って喰らっておると思われるわ」
「全くじゃ、鬼にしか見えぬ」
 渡辺もそう思うことだった。
「これはな」
「あの酒は変わった酒じゃな」
 平井は酒に注目した。
「あれは何じゃ」
「本朝の酒ではないのはわかるが」
 また卜部が言った、しかし。
 五人にはわからずだ、それで頼光が話した。
「これは唐の詩にある酒であろう」
「あの国の誌にですか」
「出ていますか」
「涼州の詩ではないか」
 まさにこの詩に出て来るものだというのだ。
「葡萄の美酒夜光の杯とな」
「ああ、あの詩ですか」
「何かと思えば」
「あの詩ですか」
「見よ、葡萄の色ではないか」
 血の色ではなくというのだ。
「血があの様な感じか」
「いえ、澄んではおらず」
「どろりとしています」
「あの酒は赤いですが紫が入っている感じで」
「また別の感じですな」
「そうじゃ、あれはまさしく葡萄の酒じゃ」
 血ではなくというのだ。
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