第五章
第51話 兵舎
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とに。事情を聞いたら、エドの師匠が今回の行軍で料理の責任者になっているとのこと。
通常、兵士の食事は兵士たち自身で作るそうなのだが、今回は途中に拠点があるので、完全な野営をする必要がない。日程も長いので、出来るだけ士気を落とさぬよう民間の責任者が付いたとのことだ。
豪華なビーフシチューが出てきたので、コストは大丈夫なのかと心配になった。ただ味はとてもおいしく、兵士たちも感激していた。
兵舎の近くには樽型の風呂もあり、入らせてもらった。
「一番最初に入れ」と言われたが、なんとか固辞に成功して最後に入った。さすがに一番風呂を堪能するわけにはいかなかったから。
湯船のお湯は汚れていたが、それも気にはならなかった。
***
ベッドに入ったのは随分遅い時間だった。
兵士たちとは、とても新鮮で貴重な時間を過ごしたような気がする。充実感がある。
しかし会話では危ない場面もあった。
こちらに悪意がなくても、軽はずみな発言でトラブルになることはある。相手の捉え方がどうかというところまで考えなければならない。
――明後日、地下都市側の人間と話すときも、細心の注意が必要だ。
心の底からそう思う。
最初は俺が相手と話すことになると思うが、不用意な発言で即アウトということも十分ありうる。
気を付けなければ……。
さて、寝よう。
やはり、ベッドが狭い。しかも二人である。
いつもは横にベッタリ付かれるのだが、ここはその横にあまりスペースがない。半分上に覆いかぶさられているような感じになる。抱き合っているのとあまり変わらない。
「狭くないか? やっぱりお前は城の大部屋のほうがよかったんじゃないか? 付き合わせてしまったみたいで悪いな」
「いいのいいの。オレこれくらいのほうがいいし」
「……うう、ちょっといつもよりも密着感が」
「悪くないね」
「キモっ」
金髪少年が「ひどいなあ」などとぼやいている。
「ああ、そういえば。兵士さんはみんなカイルのことをよく知っていた感じだったみたいだけど。なんでだ?」
「へへへ。なんででしょう」
「いや、そこまで興味ないので言いたくなければ別に」
「そこは突っ込んで聞いてよ」
「めんどくさっ」
とりあえず「言うなら早く言え」と急かしてみた。
「ふふ。首都でおこなわれた去年の剣術大会で、オレが優勝したからでーす」
「……マジですか」
「マジでーす」
「なんだよ……。そういうのはもっと早く教えてくれ」
どうやら俺の武術の師匠は、町一番どころか国内でも有数の腕だったようだ。
町長も町長だと思う。教えてくれてもよかったのに。
「へへへ、いつ気づいてくれるのかなあと思って、待ってたん
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