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オーストラリアの思い出
第二章

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「苦手でお酒はワイン飲んでたな」
「結局飲むのね」
「ワインもよかたな、鮫が多くてもね」
「海のこと?」
「海もよかったな」
 すっかり懐かしむ顔になっていた、とはいってもその顔でも小寅と遊び続けていて今度は頭を撫でて身体を触っている。猫は身体を触られてゴロゴロとなっている。
「本当に」
「そっちもなのね」
「ああ、よくてな」
 それでと言うのだった。
「よく泳いだよ」
「ボランティアの合間に」
「そうしてな」
 そのうえでと言うのだった。
「楽しんでたよ」
「いい国だったのね」
「ああ、だから御前も機会があればな」
「行っていいの」
「今は忙しいけれどな」
 実は今日の仕事も忙しかった、涼の仕事は多忙なのだ。そのストレス解消に今小寅と遊んでいるのだ。
「機会があればな」
「行きたいのね」
「旅行にでもな」
「じゃあ今度まとまった休みがあれば」
「有休を取ってか」
「それで行ったら?」
 こう兄に言うのだった。
「そうしたら?」
「ニャア」
 子寅はただ鳴いただけだが妹に続いた形になった、涼はその言葉を聞いてそれで真剣な顔になって言った。
「いいな」
「そうでしょ」
「有休取ってな」
「オーストラリアに行くこともね」
「オーストラリアに行って」 
 そしてと言うのだった。
「そのうえでね」
「今度は旅行でか」
「楽しんでくれば?」
「そうだな、いいな」
「そうでしょ、そうしたらいいのよ」
「それじゃあな」 
 涼も頷いた、それで妹に顔を向けて言った。
「今度行くな」
「オーストラリアにね」
「そうするな、今度有休取って」
「そうしたらいいわよ」
「それで明日母さんに頼んで」
「どうするの?」
「羊料理作ってもらうか」
 オーストラリアでよく食べたそれをというのだ。
「そうしてもらうか」
「だから私そっちは駄目なのよ」
 妹は兄の今の言葉を聞いてむっとした顔で答えた。
「匂いがね」
「いや、その匂いもな」
「何とかなるの」
「ラムだったら匂わないしな」
 子羊の肉ならというのだ。
「それならな」
「大丈夫なの」
「ああ、御前が苦手な匂いもしないし料理の仕方次第でな」
 それでというのだ。
「その匂いも消えるし」
「大丈夫か」
「ああ、だからな」
 それでと言うのだった。
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