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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
63話:それぞれの対応
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おまけにこのまま行けば、最高評議会議長の椅子は、『事なかれのサンフォード』議員が務めることになる。前例のない事態に、前例の踏襲しか出来ない人間を最高評議会議長にするなど、ジョークでも笑えない。
ましてや主戦派の声が大きすぎて、地球教が実際に危険な存在なのかを捜査するどころか、悪逆なる帝国から弾圧された悲劇の宗教と言う論説まである。同盟内部にも、地球教の勢力が浸透しているのではないだろうか?この件が真実なら、帝国は膿を排除できるのに対して、同盟には膿が残る、もしくは増えることになるだろう......」

「本来なら、この数年のディナール安がすこしでも戻るはずが、変化はなく。逆に、フェザーンマルクに対しての帝国マルクが上昇している。フェザーン人たちは少なくとも帝国の主張を信じている......。だったかな?何度も言われなくても私だって理解している。だが、今の議会の雰囲気では反社会活動防止法を自由惑星同盟の歴史上はじめて、地球教を対象に適用するのは無理だ。私たちは法を守らせる側の立場だ。地道に事を進める事しか今はできない。そうだろう?」

ホアンの言う事は正論だ。たが、地球教はフェザーンにも浸透していた。と言うことは活動資金もかなりの額を用意できるはずだ。メディア、主戦派、そして代議員。世論操作などいくらでもできるだろう。私は民主主義を信奉している。だが、この件に関しては強行な対応ができる専制政治の強みを見せつけられた形だ。

「まずは、フェザーンで拘禁された同盟国籍の地球教関係者と、聖地巡礼と称して貨物船で地球へ行き来していた、帝国臣民でも、フェザーン人でもない拘禁された人々の処遇だな。人的資源委員会に所属する身としては人口はひとりでも多いに越したことは無いが、破壊活動の工作員や、薬物中毒者が増える事は看過できない。とはいえ、自国民の引き取り拒否などできないし、悪逆なる帝国に中毒患者の治療をお願いする訳にもいかない。数万人という話だが、ただで返してももらえないだろう。どうしたものやら......」

さすがのホアンも、頭を抱える問題があるようだ。残念ながら劣勢な戦況の中で、数万人もの捕虜を同盟軍は抱えていない。捕虜交換形式は使えないし、破壊活動の工作員や、薬物中毒者の為に高額な血税を使う事など、世論は容認しないだろう。頭の痛い話が増えるばかりだ......。


宇宙歴785年 帝国歴476年 9月下旬
キフォイザー星域 惑星スルーズヘイム
フェザーン自治領主 ワレンコフ

「ワレンコフ閣下、この館はリューデリッツ伯爵家の別邸になります。警備の方もリューデリッツ伯爵家の者が固めておりますのでご安心ください。生活必需品は一通り取り揃えましたが、不都合があれば遠慮なくお申し付けください。では、失礼いたします」

「あなた.....
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