暁 〜小説投稿サイト〜
謎のロイヤル=ネービー士官
第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
 日本の観艦式に派遣されていたイギリス海軍の軍艦、時折昔そっくりな者を見たと言われたネイザン=ハワード大尉は乗艦からスカパフローにあるバー会員制のそこに入ってからほっとした顔でこんなことを言った。
「いや、全く以て今回の観艦式では」
「どうした?」
「何かあったのか?」
「私を前に見た人がいてだ」
 それでというのだ。
「似ているだの言っているのが聞こえてだよ」
「若しやと思ったか」
「気付かれると思ったか」
「そうだ、ばれる筈がないとわかっていてもだ」
 それでもとだ、ハワードは自分と同じ立場である同志達に言うのだった。
「やはりな」
「そうした時はまさかと思うな」
「我々も同じだ」
「普通の者は何十年も同じ姿でいないからな」
「すぐに見間違いと思うが」
「最近ファンタジーの設定が普通になってきている」
 同志達はそれでとだ、ハワードに話した。皆円卓に座りそこでそれぞれが注文した酒を少しずつ飲んでいる。
「我々が実は不老不死だと見抜くかも知れないな」
「人知れず聖杯を護る騎士達だとな」
「そう思うかも知れないな」
「聖杯は伝説だと思われている」
 ハワードは自分のウイスキー、ロックのそれを飲みつつ言った。
「しかしだ」
「その実は違う」
「聖杯は本当にある」
「その聖杯を護る我々も存在している」
「それが現実だ」
「そこまで連想されるかと思うとな」
 ただそれだけでというのだ。
「ひやりとするな」
「その通りだな」
「そこはどうしてもだな」
「我々とて同じだ」
「世間の者にわかる筈がないのに」
「私は何代かごとにハワード家の主を務めているが」
 また自分のことを言うハワードだった。
「これまで誰もそのことに気付いていない」
「聖杯に関わる者とハワード家だけの秘密だな」
「他の誰にも言わない」
「そうしたものだな」
「そうだ、しかしだ」
 それでもと言うのだった。
「やはりまさかと思う、せめて顔だけでも微妙に変えていくか」
「これまで長い間言っていることだが」
「我々もそうすべきか」
「その程度のことをしてな」
「若しやと思われない様にするか」
「それがいいかも知れないな」
 こうしたことを言うのだった、仲間内では。そして今度は仲間達に日本のことを話すが皆この国にはこう言った。
「私も何度も行った」
「私もだ」
「いい国だ、また機会があれば行きたい」
「そして楽しみたいものだ」
 ハワードは観艦式と日本での様々な出来事自体は楽しむことが出来た、それでこのことは楽しく話が出来た。それは何の懸念がなかったので彼自身楽しく話せた。それでついついバーに置いてあった日本酒も飲んだがこの酒も美味かった。


謎のロイヤル=ネービー士官   完


  
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ