第六十八話 会談成功その八
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「力があるからな、ただな」
「ただ?」
「力は心次第や」
それで大きく変わるとだ、狐は自分の主に話した。
「心がどうかで全く違う」
「それやな」
「そうや、まともな心で力を使えばええが」
「邪な心やとな」
「碌なことにならん」
幾ら強い力を持っていてもとだ、狐は芥川にこのことを忠告した。
「自分等は基本正しい心を持ってるけどな」
「それでもやな」
「名君と暴君は紙一重っていうやろ」
全く正反対の様に思えるがそれは実は違うというのだ、例えば唐の太宗と隋の煬帝である。
「実は暴君は無能やない」
「むしろ能力自体はめっちゃ高いな」
「自分もそれは知ってるやろ」
「人類の歴史の暴君は大抵そやった」
芥川もこのことは知っていた。
「僕等の世界でもな」
「頭がよくて力も強い」
「魅力もあってな」
「そやな」
「こっちの世界でイワン雷帝っておった」
ロシアの皇帝だ、この国の歴史においてあまりにも有名な人物の一人だ。
「自分の国を発展させたけど物凄い人を殺して圧政を敷いたわ」
「それだけのことは力があったから出来たな」
「そや、確かにロシアを発展させた」
シベリアにも進出しロシアを世界一の面積を持つ国家にする基礎を築いた。
「けどや」
「虐殺をして圧政敷いたな」
「ほんまよおさんの犠牲を出した」
「雷帝言うたらインドの神星やな」
「もっと凄かったやろな」
芥川はまだこの世界の雷帝をよく知らない、だがこう言った。
「ほんまにな」
「その雷帝の心はあかんかったな」
「どう考えてもおかしかったわ」
精神異常者だったとだ、芥川は答えた。
「何しろ子供の頃から動物殺したりして喜んでたそうやしな」
「それはガチやな」
「大人になってからは拷問が趣味やった」
それを見て楽しんでいたという。
「そんな人やったわ」
「そうした人間が力あるとな」
「大変なことになるからやな」
「自分等も気をつけるんや」
「力を的確に使えるだけの心を保つ」
「そや」
その通りだとだ、狐は芥川に言った。
「さもないとや」
「世界を救うどころやないな」
「それどころか世界を滅ぼす」
そうなってしまうというのだ。
「むしろな」
「そうなるな」
「そやからな」
「心をやな」
「しっかり持つんや、まあ星の奴は大丈夫やけどな」
「基本心が正しい奴がなってるか」
「そや、悪い奴は特にな」
狐はこう芥川に話した。
「おらんわ、ロシアの女帝とインドの雷帝は苛烈やが」
「悪人やないか」
「政は確かにしとる」
真っ当な政、それを行っているというのだ。
「さっき自分が言うたイワン雷帝とやらみたいなことはな」
「しとらんか」
「ああ、そこまでのことはな」
虐殺に圧政、まさ
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