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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第4話 我が家への帰還
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?」

「うっ……してないっす。あると思ってました」

「なら、エースにあれこれ言う権利はないわね」

 姉からの叱責にも、先生からの注意にも聞こえるその言葉が、エースに突き刺さった。どこか小さく見えるエースの姿は、姉に叱責される弟、もしくは母親に叱責される子供、はたまた教師に注意される生徒にも見える。

「他には、何かあった?」

「特にないなー」

「そうだね。特にこれ、といったものはエースの恋バナくらいしかないかも」

「おいミストなんでそれをいう」

 記憶力のいいミストの言葉に今度は振り回されまいと、また突っ込みを入れるエース。しかしながら、言葉として世界に溶け込んでしまった以上、それは頑張っても振り回されてしまうものである。

「それは聞きたいかもしれないわね」

「いや聞かなくていいから。てか温泉の時には話さなかったけど、ミストはどうなんだよ」

「僕はそういうの鈍いから」

「ずいぶんと都合のいい鈍さだな」

 ミストの避け方にもはや突っ込む気力すら失せたのか、それ以上の反論を止めるエース。早々と食事の終わったテーブルに伏せていると、ソレーラからの反応が返ってくる。

「ふふ、エースにもそういうのあるのね。少し安心したわ」

「なんで?」

「エースは色々と自分の気持ち押し込んじゃいそうだから」

 ソレーラにそう言われて、エースは何も言えなくなった。

 確かに自分でも、相手の気持ちを考えて言うかどうか迷った経験があるのをきちんと覚えている。それでも、まだ少しは残っている子供心によって紡ぎだされた反論は、きちんと意味のある声になった。

「受け身にならないようにコントロールしてるから安心して。ずっと言われっぱなしにはならないから」

「そうね。ケンカはともかく、言いたいことは言っていいからね。双子だとか、関係ないのよ」

 こういう理解のある一言に、エースは今まで助けられてきた。心無いセリフが散らばった中に1つでも心温まる言葉があれば、それで十分に生きていける。当たり前になりつつあるが、誰も助けてくれない世界ではなくなった今に感謝していることは、誰にも言っていない。

「そうだね。それに僕もガンガン言ってるから、エースが余計言ってないように見えるのかも。エースは黙っちゃうし」

「ミストは容赦ないからな。そのせいで何度ヒヤッとしたか」

「それはエースが氷属性だからじゃないの?」

「誰が上手いこと言えと」

 しんみりしかけた雰囲気を元の明るいものに戻すミストの座布団1枚級のネタ。エースは反射的に突っ込んでしまったあと、少し笑顔になった自分に気づく。雰囲気を暗くしてしまったのは、きっと疲れているからだろう。

「よし、じゃあ甘いもの
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