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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
55話:第11駐留基地
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入れ替わりなどが行われていた場合は防ぎようがございませんが、その辺りはおいおい憲兵隊や捜査機関との情報交換を行う中で、防止策や違反者の発見の仕組みが出来ると存じます。医療の観点からの本人確認としては入隊の段階からDNAサンプルを登録しておき、血液検査と併せてDNA鑑定を行う事ぐらいしか案がない状況でございます。」

申し訳なさそうな表情をしながら、一枚の資料を出してきた。出入りする艦隊の乗組員と、駐留基地要員、そして歓楽街の民間人全員の健康診断にDNA検査を実施した場合の見積書だ。確かに男爵家の嫡男でも判断に困る金額が記載されている。ただ、俺からすると初期投資としては二の足を踏む金額ではなかった。

「軍医大佐、仮にの話でDNA鑑定キットを生産するには設備投資はどれくらいになるのだろうか?将来的には、辺境自警軍にも導入したいし、RC社が契約している在地領主の皆様の領地でも実施しても良い話だ。どこから予算を引っ張ってくるかは別として、5年以内に年間10億セットは使うものになるだろう。10億作れば量産効果もかなりの物になりそうだが......」

そういう視点は無かったようで、軍医大佐は目を白黒している。

「すまない。こういう話の専門家連中に話を振っておくことにしよう。決裁書は用意してあるかな?いざという時は私の口座から資金を用立てるから、この件は内密に進めて欲しい。」

「はい。念のために作成しておきましたが......」

戸惑いながらも決裁書を差し出されたので、確認した後、携帯している決済印を押印して差し戻した。軍医大佐は、まだ狐につままれているような表情のまま、慣れない敬礼をして応接室を退出した。薬物は下手をしたら伝染病なんかより軍にとっては脅威だ。多少高くつくが、それで安心して指揮できるなら、決して高い買い物ではないだろう。自分の手帳のタスク管理のページに『DNA鑑定キットの生産事業立ち上げ可否』と書くと、冷めてしまったお茶を飲み干して、執務室へと戻った。
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