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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十五話 かすかな警鐘が鳴り響いています。
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 副官のエステル、そしてサビーネはふと、総司令の顔を見て、お互い顔を見合わせた。

 フィオーナの顔色が悪いのだ。こんなことは今までになかったことだったので、二人とも衝撃を受けていた。

* * * * *
 フェザーン消滅の情報を開示するか秘匿するか、ローエングラム陣営としては迷いに迷ったが、航行する船舶が幾隻も目撃していたという情報が監視部隊から入ってきた。むろん臨検で抑えることはできるが、それをして何の意味があるのかという異論も噴出し、結局これらからの情報が帝都に流れ込む前に開示したほうがいいという結論になったのだった。
 
 ただし、開示には色を付けること――。それも大幅に――。

 これがアレーナの案だった。彼女が帝国全土に張り巡らした情報網とプロパガンダを駆使して伝えたその結果――。

『自由惑星同盟を称する反乱軍は、皇帝を僭称するシャロン・イーリスなる者の手に落ち、第二の銀河帝国を僭称しています。』
『今までの敵は自由惑星同盟を僭称する反乱軍そのものでした。しかしながら、それらはすべてシャロン・イーリスなる者を首魁とする一部の者の扇動によって行われたものだという事が判明しました。』
『したがって、銀河帝国はこのシャロン・イーリスなる者を討伐し、もって銀河帝国皇帝の名の下に彼らをかの者から解放することを目的とし、大規模な遠征軍を派遣することとなりました。』

 という報道が帝国全土を駆け巡ったのである。結果、自由惑星同盟の民衆はシャロンに搾取される存在としてクローズアップされることとなる。つまり、敵の位置が明確化したのである。

 自由惑星同盟そのものから、シャロン・イーリスただ一人に――。



* * * * *
帝国暦488年5月29日――。

シュルツェンの館――。

 ラインハルトらが、アンネローゼが手ずから淹れるお茶を楽しむ一時には、かすかな緊張と旋律を伴っていた。
 既に、ビッテンフェルト及びバーバラは出立していたが、ラインハルトらが出立するのは、この日の午後1時だったのである。それまでの束の間の一時を、ラインハルトらはアンネローゼと共に過ごしていた。

「ラインハルト・・・・・。」

 アンネローゼはワインセーラーにワインを取りに行ったラインハルトとキルヒアイスの背中を見ながらつぶやいた。二人の背中はこれから起こり得るであろう大戦からの重圧を感じているようではなかった。そこにいるのはあの頃と同じ――幼少期を姉たちと共に過ごしたあの日々と同じ頃の姿――を二人に思い起こさせたのである。

 だからこそ――。

「アンネローゼ、約束するわ。私は命に代えてもラインハルト、キルヒアイスを守り、あなたの元まで送り返すと約束する。そしてもう一度あの頃と同じように、皆で過ごす
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