第三章
第32話 絆の再始動
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「どういうことです?」
ウィトスは「面白い」という表現を使った。
「ヤハラは、自分たちこそが君の時代の文明を引き継ぐ真の人間だと言っていたわけだよね」
「はい、そうですね」
「そしてその上で、君を勧誘したと」
「ええ」
「そうしたら、君は『この国の人たちのほうがずっと人間らしい』と答えたわけだ」
「それが本音です。思わずそう答えてしまいました」
「と、いうことはだ。古代文明を継ぐ自分たちこそが真の人間で、この国の人たちは人間ではないと考えていたのに、その古代文明から来た君から、真逆のことを言われてしまったことになるよね。なんとも皮肉なことだ」
視点がすっかり評論家である。参謀を引退して、コメンテーターに転向したほうがよいのではないだろうか。
「しかしオオモリ・リク」
今度はヤマモトが俺に突っ込んできた。
「お前にそう言われたら、彼らは自分たちの存在価値を維持するため、お前を殺すしかなくなるだろう。なぜ自殺するようなことを言ったのだ?」
「すみません、つい勢いで言ってしまいまして」
「勢いと申すか。堂々と言ったお前の勇気は立派であり、見事だとは思うが……。
この私ヤマモトであれば、とりあえず生き延びるためにヤハラに従うふりをし、その場を切り抜けたであろう。そしてそのまま演技を続けて敵組織の本拠地に潜入し、貴重な情報を盗んで脱出し、城に帰還するという一石二鳥の作戦を考えたはずである」
ヤマモトはえらい自信満々に語っているが、彼が本当にその一石二鳥の作戦を実行可能だったのかどうかは怪しい。
参謀を引退して、語り部か何かに転向したほうがよいのではないだろうか。「ヤマモトの日本ふかし話」というタイトルはいかが。
「はっはっは、ヤマモトよ。リクはそのようなことができるほど器用じゃないぞ。敵について行ったとしてもすぐバレて処刑されただろうな」
「……」
「あーすまんすまん。怒るなリク。で、こちらとしては、今後どう動けばよいのかについて考えなければいけないわけだな」
「はい。そうですね」
「今すぐ着手すべきこととしては、敵組織の本拠地を突き止めることになるのだろうか? リクはどう思う?」
国王が案を出して話をリードしていく。
ヤマモトとウィトスの参謀二名は、普段あまり積極的に案を出さないらしい。
おそらく遠慮する癖がついてしまっているためだろうが、それも今後は徐々に改善されていくのだろう。
筆頭参謀だったヤハラはもういないのだから。
「この国がやるべきこと、ということですと、そうなるんでしょうね。ただ手がかりがなさすぎます……。
あ、そう言えば、遺跡のほうで隠し通路がないかどうか調査をしていましたよね? あれってどうなっているんですか?」
「ああ、
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