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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)
旅は道連れ
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<ルイーダの酒場>

そこは大勢の人々で溢れかえっていた。
まだ昼前だと言うのに、酒を飲んでくだを巻く冒険者達で…

「貴女が噂の勇者様ね。ルイーダの酒場へようこそ。ここは出会いと別れの場よ」
酒場の女主人『ルイーダ』が妖しく美しい表情で二人に話しかける。
何故この二人が連れ立ってこの様な場所に来たかと言うと…
アルルの真剣な思いと、リュカのいい加減な思いが合わさり化学反応を起こした結果である。

簡単に言うと、自己紹介を終えた二人は互いの状況を説明、助力を願い互いに承諾。
アルルの願いは[見るからに旅慣れした屈強な戦士(風?)の男に魔王討伐の手助けをしてもらう事]
リュカの願いは[ともかく帰りたいけど、どうして良いのか分からないから、どうせなら美少女と一緒に居る方が楽しいし一緒に付いて行こうかな…]
である。
互いの思いの温度差に気付くことなく、状況は変化し更なる仲間を求めルイーダの酒場へやって来た…


「あの、魔王討伐に旅立ってくれる冒険者は居ますか?」
まだ未成年のアルルにとって、酒場などという場所は初めてであり、戸惑いがちに尋ねている。
「さぁね…そこらに居るんじゃないかねぇ〜」
しかしアルルの真剣な眼差しも感銘を受けることなく一瞥して終わるルイーダ。
「あははは!昼真っから飲んだくれる連中が役に立つのか?まぁ…使い捨ての盾ぐらいにはなるか!あはははは!」
そんな2人の会話を側で聞き、酒場を見渡したリュカが腹を抱えて笑い出す。
リュカの透き通った声はこの喧噪の中でも、人々の耳に届く声の為、酒場内は一斉に静まりかえる…

血の気の多い冒険者達の中、一人の男がリュカの前へやって来る…
リュカの身の丈程あろう戦斧を肩に担ぎ、リュカより頭2つは大きい男…
「聞き捨てならねぇな!俺は最強の戦士ボーデン!テメェーの様なヒョロ男なんざ、瞬殺してやんよ!!」
「あー…あんまり自分で最強の戦士って言わない方が良いよ…ものっそい格好悪い!(笑)」
自称最強の戦士の矜持を傷つけるには十分すぎる発言だった。
「き、貴様ー!!」
自称最強の戦士は手にした戦斧をリュカに向け振り下ろす!
その場にいた誰もが軽口を叩く男の無惨な死体を予想した…

だが現実は、左手の親指と人差し指で戦斧の刃部分を掴み、顔色一つ変えず受け止めている男と、顔を真っ赤にして戦斧を振り下ろそうと藻掻いている大男の姿だった。
周囲の誰もが目を見開き驚愕する…
昼間から飲んだくれてはいるが、実際にその男はかなりの強さではあるのだ。

大男の戦斧は微動だにせず、押し切る事も、引き抜く事も出来ない。
「ぐぉぉぉ!は、放しやがれぇぇ!!」
顔を真っ赤にして呻く大男に気付いたリュカは、
「あ、ごめん。忘れてた」
と、突然手を離す。

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