暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
49話:フェザーンの日々
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宇宙歴778年 帝国歴469年 4月下旬
フェザーン自治領 首席補佐官室
アドリアン・ルビンスキー

「一先ず、これで資材価格の高止まりも落ち着くだろう。ルビンスキー君、ご苦労だった。報告書は自治領主閣下にも確認いただいている。もうすく補佐官の椅子が一つ空くはずだ。おそらく君が抜擢されるだろう。改めておめでとう。よくやってくれた」

ワレンコフ首席補佐官がねぎらいの言葉をかけてくれる。貴族のボンボンどものおもちゃ作りには結局6年近くの時間を取られたが、補佐官の椅子が手に入るなら、保育士の真似事をした甲斐があるというものだ。

「恐れ入ります。首席補佐官にも色々とご配慮を頂きました。改めてになりますがありがとうございました」

当初は、俺を保育園へ放り込んだこの男に少なからず憤懣を抱いたが、彼はなんだかんだとサポートをしてくれた。別に俺への親切心ではなく、資材価格の高止まりが方々に与える影響を考えれば、一日でも早くおもちゃ作りを終わらせる必要があったのが、サポートの理由だろうが、学級崩壊した問題児ばかりの保育園の担当者としては、本当に助かった。
特に居住区画をモジュール工法に切り替えて、ブラウンシュバイク公爵家とリッテンハイム侯爵家の一門に割り振った結果、あくまで内装のみを委任し、モジュールの設計図まで指示したにも拘らず、何を血迷ったのか、自分が使うからと設計図を無視したモジュールを造られた時には、完全に工期をオーバーする事が確定したことも相まって正直、俺のキャリアも終わったと、放心状態になりそうだった。これを納めてくれたのも首席補佐官だ。
工期の延長が確定した時期から、軍部系貴族と軍人たちから、むしろ6年で要塞が完工するなら十分に誇るに値する偉業であるという見解が、かなり大々的に発信された。彼らからすれば、それ以上の偉業であるイゼルローン要塞を工期を守って完成させた訳だから、自分たちの偉業を更に高める意図もあったのかもしれない。
ただ、そのおかげで、同じ船に乗っていた、理事長と園長の面子も守られたし、俺も面目が立った。おそらくリューデリッツ伯辺りに依頼したのだろうが、何を対価に求められたのやら。怖くて今は聞けないが、いずれきちんと仕事の成果で返せば良いと割り切ることにした。

「リューデリッツ伯からも、まずは無事故で完成までこぎつけた事にお礼の言葉があった。秘蔵のフリードリヒコレクション数本と、保育園の超過勤務手当を預かっている。いつもの口座に振り込んでおくので確認しておいてくれ」

「は!ありがとうございます」

リューデリッツ伯はもしかしたら大事故が起こる事も想定していたのかもしれんな。帝国側の資材価格高止まりの影響の尻ぬぐいは、彼が担当するとのことだ。大事故がおきれば工期は10年近いものになっただろう。むしろ6年で
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