暁 〜小説投稿サイト〜
誰も知らない
第二章

[8]前話 [2]次話
「一体」
「はい、実は」
 沖田は二人にすぐに答えた、二人に隠しごとはしないし元々嘘が吐ける様な人間でもないのだ。それがここでも出た。
「おなごに会っていまして」
「おなごにか」
「はい」
 こう答えたのだった。
「それで、です」
「最近時折一人でか」
「いなくなるのか」
「はい」
 そうだというのだ。
「左様です」
「そうであったか」
「それでなのか」
「隠してはいませんでしたが」
「言えなかった」
「そうであったか」
「左様でありました」
 沖田は昔から親しい二人に恐縮して答えた。
「実は」
「おなごか。わしにも家があるしな」
 近藤はここで女房や子供達、それに妾のことも思い出した。
「よいものじゃ、それお主もか」
「好きなおなごが出来まして」
「そこにか」
「時折通っております」
「そうであったか」
「別に勤皇の者とも関わりはなく」
 沖田はその女のことも話した。
「特に怪しい者ではあらず」
「付き合ってもか」
「はい、特にです」
「問題はないか」
「ですから」
 それでというのだ。
「局長も副長もです」
「心配は無用」
「そう言うか」
「はい」
 まさにと言うのだった。
「ご安心下さい」
「それはよいがな」
 土方は鋭い目になり沖田に応えた。
「しかしどういった者か」
「そのことがですか」
「気になる。教えてくれぬか」
「まあ待て」
 近藤は問い詰める様な土方に笑って言った。
「総司のことだ、名等は言うべき時にな」
「わし等に話してくれるか」
「そうじゃ、これまでもそうであったな」
「それでか」
「今もじゃ」
「だからか」
「言うべき時が来れば言う」
 沖田の方からというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ