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緑の楽園
第三章
第28話 暗殺者
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 大失策だ。今ので、頭の中で検討していた内容がバレた。

「もしかして……今、だまし討ちしようと考えていました?」
「えっ? まあ……」

 あ。

 ああ……。
 混乱してミスがミスを……。

 男が短剣を拾う。
 今度こそ終わった。殺される。

「……」
「……」

「…………」
「…………」

 男が息を吐きながら、頭を掻いた。

「剣を遠くに置いてください」

 ――ダメだ。言うとおりにしよう。
 今どうにかできる可能性は、確実にゼロになった。

 人通りが少ない場所とはいっても、誰かが偶然発見してくれる可能性もある。
 その可能性をできるだけ上げる方針でいこう。
 そのために、これからおこなわれるであろう話を、ひたすら引き延ばす。
 それしかない。

 俺は剣を壁際に置いた。そして元の場所に戻った。
 それを見て、男も再度短剣を置いた。

「今のは聞かなかったことにします。さっき脅して無理矢理ここに連れ込んだのと差し引きゼロ。それでどうですか」
「あ、ああ。わかった」
「ではテーブルを用意します」

 男は、部屋の端に立てかけてあった背の低いテーブルを、部屋の中央に置いた。



 こたつのようなそのテーブルの前で、俺は正座をした。
 男も正座をする。
 お互い、武器は手の届かないところにある状態だ。

「僕はヤガミ・タケルという名前です。タケルと呼んでください」
「オオモリ・リクだ。もう名前は知っているんじゃないのか?」

 お互い自己紹介する必要はあったのだろうか。
 男も俺の名前はすでに知っていただろうし、俺としても暗殺者の名前など別に知りたいと思わない。

「あの犬に感づかれないよう人ごみに紛れ、あなたが一人になるのを待っていました」
「……」

 少しだけ、気持ちが落ち着いてきた。
 時間が経ったからというのもあるが、もうジタバタしても仕方がない気がしたというのもある。
 とにかく時間を稼いで、誰かが気づいてくれるのを待とう。

「先ほど言いましたとおり、今日はあなたへお願いがあります」
「どんなお願いなんだ?」
「我々に力を貸していただきたいのです」
「は?」

 いったい何を言っているのか――そう思った。

「そちらの、テロリストの仲間になれって? いったいなぜ?」
「我々はテロリストなどではありません」
「テロリストじゃなければ何なんだ?」

 どんな組織なのかも知らないのに、仲間になどなれるわけはない。
 まあ、この前の国王暗殺未遂を見るに、ロクな組織でないことは容易に想像できるわけだが……。

「聞く覚悟はあるのですか?」
「……? どういうことだ?」
「我々の情報を詳しくあな
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