第三章
第28話 暗殺者
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
大失策だ。今ので、頭の中で検討していた内容がバレた。
「もしかして……今、だまし討ちしようと考えていました?」
「えっ? まあ……」
あ。
ああ……。
混乱してミスがミスを……。
男が短剣を拾う。
今度こそ終わった。殺される。
「……」
「……」
「…………」
「…………」
男が息を吐きながら、頭を掻いた。
「剣を遠くに置いてください」
――ダメだ。言うとおりにしよう。
今どうにかできる可能性は、確実にゼロになった。
人通りが少ない場所とはいっても、誰かが偶然発見してくれる可能性もある。
その可能性をできるだけ上げる方針でいこう。
そのために、これからおこなわれるであろう話を、ひたすら引き延ばす。
それしかない。
俺は剣を壁際に置いた。そして元の場所に戻った。
それを見て、男も再度短剣を置いた。
「今のは聞かなかったことにします。さっき脅して無理矢理ここに連れ込んだのと差し引きゼロ。それでどうですか」
「あ、ああ。わかった」
「ではテーブルを用意します」
男は、部屋の端に立てかけてあった背の低いテーブルを、部屋の中央に置いた。
こたつのようなそのテーブルの前で、俺は正座をした。
男も正座をする。
お互い、武器は手の届かないところにある状態だ。
「僕はヤガミ・タケルという名前です。タケルと呼んでください」
「オオモリ・リクだ。もう名前は知っているんじゃないのか?」
お互い自己紹介する必要はあったのだろうか。
男も俺の名前はすでに知っていただろうし、俺としても暗殺者の名前など別に知りたいと思わない。
「あの犬に感づかれないよう人ごみに紛れ、あなたが一人になるのを待っていました」
「……」
少しだけ、気持ちが落ち着いてきた。
時間が経ったからというのもあるが、もうジタバタしても仕方がない気がしたというのもある。
とにかく時間を稼いで、誰かが気づいてくれるのを待とう。
「先ほど言いましたとおり、今日はあなたへお願いがあります」
「どんなお願いなんだ?」
「我々に力を貸していただきたいのです」
「は?」
いったい何を言っているのか――そう思った。
「そちらの、テロリストの仲間になれって? いったいなぜ?」
「我々はテロリストなどではありません」
「テロリストじゃなければ何なんだ?」
どんな組織なのかも知らないのに、仲間になどなれるわけはない。
まあ、この前の国王暗殺未遂を見るに、ロクな組織でないことは容易に想像できるわけだが……。
「聞く覚悟はあるのですか?」
「……? どういうことだ?」
「我々の情報を詳しくあな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ