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3章 穏やかな日々
23話 将来の旦那さん?Part3
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 わいわいと騒がしく大きな食卓を囲む子供たち。その光景は見ているとほほえましくなるものである。だが、そこから離れた丸テーブルはというと…

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」

 痛いほどの沈黙で満ちていた。テーブルの上には4人分のパンとシチューがほかほかと温かそうな湯気を立てているが、テーブルを取り巻く空気は凍っている。

「この女が作ったご飯なんて食べられない」

 不意に、毒が入った少女の声が沈黙を破った。言わずもがなミカだ。

 リアの顔に笑みが浮かぶ。…もちろん、目は一切笑っておらず、それどころか氷ほどの冷たさだ。

「そっかぁ、別に無理して食べなくていいんだよ?君に食べられるだなんて食べ物もかわいそうだしね」
「あんたに調理されたこの料理のほうが可哀そうに思えるけど?」

 ミカも負けじと言い返し、バチバチと見えない閃光が飛び交う。サーシャはこの雰囲気に耐え切れずに縮こまり、ツカサはあきれた顔をした。

「もうちょっと仲良くできないのか…?」
「「ツカサ(君)は黙ってて」」
「はい…」

 2人の女からの強烈な視線に、ツカサも首をすくめた。


 さっきからずっとこんな調子なのだ。さかのぼること、ちょうど30分ほど前。


『あたしの将来の旦那さんに近づかないでくれる?』
『…はい?』

 唐突の発言に、リアは彼女が言った言葉の意味がよく理解できなかった。一方、ミカのほうは、勝ち気な瞳で下から敵意をむき出しにしてにらみつけている。

『…ちょっとまって、何それ、どういうこと?』
『どうもこうもない。私のツカサに近づかないで。…ツカサ、こんな女置いて、座ろう?』
『え、あ、いや…』

 ミカは玄関から入ってからずっとつかんだままのツカサのコートの袖口を引き、硬直しているリアのわきをすり抜けていく。



 そして食事時の今、である。



「ねぇ、なんで会って一時間ぐらいしかたってないし、年上のツカサ君のこと、呼び捨てにしてるの?おかしいよね?」
「だって、ツカサは私の将来の旦那さんなんだもの。それぐらい当然でしょ?」

 ビキビキビキッ???、と確かに音を立てて何かが割れた気がした。リアの頬が我慢できずにぴくっと動く。

「だいたい、何その将来の旦那さんって?」
「前に父さんが教えてくれたの、“私を危険から守ってくれた人はお前の将来の旦那さんになる人だから、絶対に離れちゃいけない”って。ツカサは私を助けてくれたから、私の旦那さんになる」
「……」

 呆れてリアは物も言えなかった。なんていう子供なんだ!?いや、子供の一時の執着なのかもしれないが、それにしても胸糞が悪い。

「ツカサ君はずっと私と一緒にいるんだけど
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