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真田十勇士
巻ノ最後 訪れるものその六

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「ようやく泰平の世が本格的にはじまります」
「それでは」
「それを守る政を前から考えていまして」
「大御所様にお話をしていましたか」
「そしてこれからも」
「上様に」
「お話をさせて頂きます」
「世にどう言われても」
「それは拙僧は気にしておりませぬ」
 一切とだ、天海は柳生に笑みを浮かべて答えた。
「だからよいです」
「左様でありますか」
「大事はこの天下と万民が幸せに暮らせること」
「そのことが大事ですか」
「はい、それが守られることが」
 まさにというのだ。
「大事ですので」
「だからですか」
「拙僧が何を言われようと構いませぬ」 
 自身の評判はというのだ。
「そういうことで」
「では」
「今はこうしてです」
「茶をですな」
「飲みましょうぞ」
 こうしたことを話してだった、天海はこれからのことを柳生と共に考えていった。天下泰平の世を保っていく為のそれを。
 薩摩において幸村は駿府の方を向いて深々と頭を下げた、十勇士達はその彼を見て言った。
「あの方にですか」
「挨拶をされましたか」
「うむ、あの方は旅立たれた」 
 だからだというのだ。
「今な、それでじゃ」
「我等は今は薩摩にいますが」
「それでもですな」
「別れの挨拶をされたのですな」
「そうされたのですな」
「うむ」
 その通りだというのだ。
「それでじゃが」
「はい、それでは」
「これからはですな」
「再び」
「鍛錬に励むとしよう」
 実は幸村は今は十勇士達と共に鍛錬を積んでいた、その途中のことだったのだ。
「再びな」
「殿、これよりです」
 穴山が明るく言ってきた。
「鉄砲を撃たれますか」
「いやいや、鎖鎌をしましょうぞ」
 由利が出すのはこちらだった。
「それがいいかと」
「泳ぎもいいですぞ」
 海野は自分が最も得意とするものを出した。
「あれは泳げば泳ぐ程よくなります」
「相撲は如何でしょう」
 望月はこれをと所望した。
「皆でぶつかり合いましょう」
「剣は忘れてはなりませぬ」 
 根津は自身の一番好きなものを常に頭に置いていた。
「日々励まねば」
「妖術は如何でしょうか」 
 筧の言葉は今も礼儀正しい。
「こちらは」
「法力も強くなればです」
 伊佐は僧侶として話した。
「悟りからさらに達することが出来ますが」
「いやいや、土の術もいいですぞ」
 清海が出すのはこれだった。
「地震を起こす様に励みましょうぞ」
「霧は如何でしょうか」
 霧隠は主に微笑んで述べた。
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