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提督はBarにいる・外伝
提督、里帰りする。その4
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ましいですねってよ」

「もう〜♪darlingったらそんなホントの事言ったら照れるネー」

「はいはい、さっさと行くぞ〜」

 イヤンイヤンとクネクネしている金剛を置き去りにして、記憶を頼りに墓を探す。暫く共同墓地の中を歩き回り、

「……あった、これだ」

 黒光りする御影石の墓石が目の前にあった。「金城家之墓」と刻まれている。

「よう爺ちゃん、婆ちゃんもだけど。久しぶりに帰ってきたぜ」 

 少し照れ臭くなって、ぶっきらぼうにそう呟く。

「信じられねぇかも知れねぇけどさ、俺、今海軍で大将やってんだ。日本だけじゃねぇ、世界の海を護ろうと戦ってんだ……ヤンチャ坊主だった俺がだぜ?」

 俺が小さかった頃、お袋はまだ働いていて、俺は爺ちゃんと婆ちゃんに育てられた。悪い事をすればボコボコにされたし、良いことをすれば物凄く褒められた。俺が初孫だったってのもあったかも知れんが、中学・高校になってからは余計に迷惑を掛けた。酒に煙草、麻雀やパチンコなんかのギャンブル。そして気に入らない相手との喧嘩に明け暮れた。小遣いが無くなれば爺ちゃん達の年金をアテにして集った事もあったっけ。今にして思えば、当時の俺はクズと言われても仕方ねぇ位の事をしていた。それでも爺ちゃん、婆ちゃんは何も言わず、金をせびる俺に何も言わずに金をくれた。

 高校を卒業して金を稼ぐ大変さを知った時、俺は後悔した。何も考えずに金をせびっていた俺が凄く愚かに思えた。初めて稼いだ金で、俺は爺ちゃん、婆ちゃんにプレゼントを贈った。だが、実家を離れて生活していると、その事に馴れて実家との連絡も少なくなり、疎遠になり始めた。丁度その頃だ、元帥のジジィにスカウトされたのは。その後は無我夢中で、今の地位に上り詰めた時には、この姿を見せたいと思った2人はもう、この世には居なかった。この晴れ姿を見せてやりたかった。その為にわざわざ制服を持ち出して来たんだから。

「爺ちゃん、俺結婚したんだぜ?血は繋がってねぇけど、娘も出来た。その顔拝んでやってくれよ」

 そう言って墓石の前を開けてやる。そこに金剛と山風が入り込み、手を合わせる。

「darlingのお爺様とお婆様、生きている内に会ってみたかったです。私、艦娘の金剛といいます。いつ死ぬか判らないような危険な仕事ですが、必ず生き延びてまたここに来ます」

「……えっと、ひいお爺ちゃんとひいお婆ちゃん。山風だよ。私、本当のパパの娘になれるようにもっと頑張る……だから、見守っててね?」

 二人が口に出して墓前で挨拶をする。その後ろでは他の4人も手を合わせる。その言葉は二人の俺に対する決意表明のように聞こえたのは、気のせいだったろうか。

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