暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
17話:お人よしの独白
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
るのも目の付け所が良いと言えるだろう。

陛下からすると皇太子リヒャルト様とクレメンツ殿下が派閥を作って勢力争いをしているのは明らかなことだ。逆に言えば、御二人から何か話があったところで、派閥争いの匂いが必ずついてしまう。フリードリヒ殿下にはそれがない。

その分だけフリードリヒ殿下がお伝えすることは素直に陛下に伝わりやすいという事だ。フリードリヒ殿下からしても、次代の帝位争いからは身を引かれているとはいえ、皇室の血を引くことは間違いない事だ。無礼な対応をされて愉快でおられるはずがない。

門閥貴族の軍への浸透を防ぐという意味でも、ルントシュテット家は良い選択をしたといえるだろう。これが他の御二人なら派閥に入る以上、一定の妥協は必要となるため多少なりとも浸透を許容しなければならなかったはずだ。どちらにしてもまずは帰還兵の事だ。皆の生活が落ち着くまでは事の顛末を見届けたい。

「あとはあの一件か......。」

思わず口に出してしまった。おそらく近々に表に出ることは無いだろうが、ジークマイスター提督の亡命事件と、ミヒャールゼン提督の暗殺事件。私の考察が正しければ、第二次ティアマト会戦の敗戦の理由にも関係するはずだ。力が及ぶ範囲で真実を知っておきたい。

そう思えば帝国に帰還できたことは良かったのかもしれない。ザイトリッツ様の事とこれらの事件のあらましをお持ちすればレオンハルト様に良き土産話になるだろう。今朝、この部屋を出るときは不安な気持ちでいっぱいだったがなんとか前向きに帝国での新しい人生を歩めそうだ。

新しい人生に向けて、もう一つすべき事を忘れていた。アタッシュケースから一枚の書類を取り出してサインし、封筒にいれて封をした。明日投函すれば過去の自分を縛るものはすべてなくなるだろう。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ