暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
7話:長兄と次兄
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
宇宙歴752年 帝国歴443年 1月9日 夜半
ヴァルハラ ルントシュテット伯爵邸
ローベルト・フォン・ルントシュテット

父上と弟コルネリアスとシガールームで談笑したあと、私は自分の部屋に戻ってきた。
明日には士官学校へ戻らなければならないので手早く荷造りを進める。

本来なら末弟ザイトリッツも揃っての年末年始を過ごすはずであったが、その末弟が領地から出てきた際に交通事故にあった。怒りを覚えずに冷静に詳しく語るにはもう少し時間がかかるだろう。

6年前に帝国軍は叛乱軍相手に将官だけでも60人以上が戦死する大敗を喫した。私の祖父に当たる先代ルントシュテット伯もその一人だが代々軍人を輩出してきた貴族家には大きな痛手だった。当主と後継者が戦死した家もあったし、後継ぎがいない家もあったのだ。そこは武門の家柄同士、助け合うことでなんとか急場をしのいだが、軍務に携わっていた貴族の力が落ちたのは事実だ。

その隙をついて門閥貴族が軍に浸透しようとしてきた。何やら自分たちの能力に自信があるようだが、宇宙艦隊を自分たちのおもちゃだとでも思っているのだろうか。

幼年学校でも、士官学校でも門閥貴族の横暴は目に余る。従者を気まぐれで殴ったり、成績優秀者になにかと嫌がらせをするのだ。領民にも平気で手をあげているのだろう。自慢げに鞭打ちをしたと話している者もいたが、気分が悪かった。

祖父の事を思い出す。事あるごとに部下への暴力は絶対にダメだ。一兵卒だろうが司令官だろうが公明正大に対しなければならない。と言っていた。当時はよくわからなかったが、今では少しわかる気がする。お爺様は怒鳴ったことも、手をあげたこともなかった。

ただ、私がなにか間違えたときにはしゃがんで目線を合わせながらなぜそれが間違いなのかをしっかり話してくれた。そして最後にこれで次からは大丈夫だな?とまっすぐ目をみて問いかけるのだ。
そしてはい!と返事をすると笑顔になり頭をなでてくれた。物語に出てくる実直で部下にも優しい頼りになる将軍というのがイメージにぴったりだ。

私はお爺様のようにありたいと思うし、弟たちにもそれを伝えたい。初めて末弟のザイトリッツに接したとき、お爺様を意識してみたがうまく出来ただろうか?
そんなことを考えているとドアがノックされた。弟のコルネリアスが来たようだ。

「兄上、お話があるのと事でしたね。荷造りの方は......お済のようですね。」
「無論だ。まあ座ったらどうだ。」

私と比べるとコルネリアスは柔軟で優しげだ。風貌は兄弟で似ているが、友達にするならコルネリアスを選ぶ人が多いだろう。実直であろうとするせいか、私は周囲からは堅物だと思われている。

「私たちも明日からそれぞれ学校へ戻ることになる。またしばらく会えないだろうし、少し話
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ