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戦闘携帯への模犯怪盗
STAGE2-3:戦闘携帯への模犯怪盗
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じゃないさ。僕にトランプをやめさせたかったら手ごと斬り落とすべきだったね、リュウヤ」
「……なら、次はそうしよう。元に戻らなくなっても恨むなよ」

 リュウヤが剣を構える。その時、クルルクがシルクハットを大きく天に放り投げた。全員の目線がシルクハットに向き、落ちてくるそれをキャッチして一礼するクルルクにみんなが注目する。

「残念だけど、次はないんだよ。このドローで終わりにするからね」
「……できるものならやってみればいい」
「もちろん、このチェンジに全てを賭けるよ!お集りのみなさん、もし奇跡の役を引き込めましたら拍手御喝采のほどを!!」

 フラッシュで五枚のカードを手放したクルルクの手札はない。ポーカーとは手札をチェンジして役を揃えるものだ。五枚全てをチェンジした後で強い役がそろうことなど、限りなく可能性は薄い。だがクルルクは自信に満ちた表情で、カードの束に傷の塞がった右手を据える。リュウヤも突きの構えを取った。

「これで僕が勝ったら、驚いてくれるかな?島キング」
「何も驚く理由がない。怪盗がトランプで戦う。派手なはったりをかます。最後の最後で奇跡を起こす。珍しくもなければ意外でもない。よくある話だ。だが俺はその奇跡を上回って勝つ」

 アローラの陽ざしをものともしない絶対零度の揺るぎない無表情。どうせ奇跡など起こらない、とタカをくくりはしない。確率がどれだけ低かろうと目の前の怪盗はそれを起こすと確信している眼。

「つれないなあ……さて、君の異世界の剣が勝つか。僕の勝負師の魂が勝つか……これが決着の、ディステニードロー!!」

 五枚のトランプを一気に引く。同時にリュウヤが動いた。
クルルクの手札にそろったダイヤの10、ジャック、クイーン、キング、エース。ロイヤルストレートフラッシュのカードたちが強烈な光を放ち、クルルクの両手が太陽に掲げられその手に光の大剣が握られる。
 リュウヤのカミツルギが強い金色に染まり、神話の聖剣のような鋭さを持って突き出される。技をして放たれる名前は、奇しくも同じだった。

「「『ブルームシャインエクストラ』!!」」

 クルルクの大上段からの振り下ろしと、リュウヤの突き。二つの太陽がぶつかり合ったような激しい閃光が巻き起こり、すべての人間の視界を眩ませた。
 同じ草タイプのZ技なら、威力の高いほうが勝つのは必然。そしてウルトラビーストに名を連ねるカミツルギとあくまで一般的なアローラのポケモンであるラランテスでは前者の方が明確に攻撃力は上。
閃光が消え、視界が戻った時には、当然決着がついていた──


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