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緑の楽園
第一章
第6話 二十二歳の孤児
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が。構わないかね」
「あ、はい。構いません。そもそもご迷惑をかけているのはこっちですので」
「そうか、ではこうしようではないか」

 ごくり。

「君を孤児扱いとし、町が運営する孤児院に入ってもらう」
「…………!」
「どうだい。やっぱり不満かな?」
「いえ、不満はありません。ぜひ宜しくお願いします」

 驚いたが、不満などあるはずがない。

「よし。では今日から君とクロくんは孤児院の所属だ。頑張ってくれたまえ。下で受付に言えば紹介状をもらえるから、それを持って院長に挨拶に行きなさい。孤児院までの道順も受付が知っているから、聞くといいよ」
「はい。ありがとうございます」

 俺は頭を下げた。
 路頭に迷うということがなくなったのは、何よりも大きな安心だ。ありがたい。

「そうだ。君が国に帰る手段についてだが、手がかりすらないと言っていたね?」
「……はい。まったくなくて困っています。何からすればいいのやら」

 それについても大きな悩みの種となっている。
 現段階ではそれこそ、わからないということがわかっただけだ。何も進んでいないのと同じである。
 町長は顎に手をやり、かすかに唸ってから話し始めた。

「参考になるかどうかわからないが……。
 私は町長の仕事をやっているが、前の町長さんから引き継いでいないようなイレギュラーな仕事が発生することも当然ある。数年に一回あるかないかのような仕事や、任期中あるかないかのような仕事は、いちいち引き継ぎなどしないからね。
 そのようなときはゼロから考えてもよい仕事はできないから、まず『前はそれをどう処理していたのか』というところから調べることになる。町役場に記録が残っているようであればそれを調べ、残っていなければ前の町長さんに教えてもらいに行ったりもするよ。
 過去の方法を調べて、そのままでよさそうであればそのままやればいいし、少し手を加える必要があれば加えればいい。そうすることで効率的に仕事が出来るわけだ。
 ……まあ、今回『君の処遇を考える』という仕事においては、前例を参考にすることは出来なかったのだけどね」

 町長は少し笑うと、木のテーブルの上にあった飲み物を一口飲み、話を続けた。

「しかし、もっと昔まできちんと調べたらどうなるだろうか? もしかしたら君と同じような境遇の人間が存在していたかもしれない。
 君は非常に特殊だと思う。だが非常に特殊なケースがゆえに、もし過去に同じような例があったとすれば、何かしらの記録や言い伝えが残っている可能性は高いだろう。まずそれを調べることが第一歩になるかもしれない」

 なるほど……。
 過去の記録や伝承を探すということか。

 どんなに珍しい現象であっても「自分一人だけに発生する、特別で唯一無
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