暁 〜小説投稿サイト〜
緑の楽園
第一章
第1話 違和感
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くクロと睨み合いをした後、野犬たちは俺のほうに視線を移した。

 ――ヤバい。

 クロを相手にしていても埒が明かないと判断したのだろう。
 第二波攻撃が来た。クロを素通りして俺に飛びかかろうとしてくる。

 クロがそれを見てすぐに阻止にかかる。
 しかしクロ一匹だけでは野犬全匹を止めることはできない。
 漏れた個体が俺に向けて迫ってくる。

 剣道で竹刀の高速な動きを毎日見ていたので、いちおう野犬の動きは見える。
 見える。
 そう。見えるんだが……。そういう問題ではない。
 恐怖心のせいなのか、足が反応しない。

 首をめがけて飛んできた。
 俺は反射的に、かばうように左腕を出した。
 激痛が走った。

「うああああぁ!」

 振りほどこうとしたが、噛み付いたまま離れない。
 続いて、複数方向から強い衝撃。

「ぐ……」

 景色が回転する。
 クロが何かを叫ぶ声が聞こえる。



 俺の意識は薄れていった。
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