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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第四十九話 ディエチの憂鬱
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ディエチは頷いて、いま自分の中で思っている事をチンクにぶつけてみる事にした。

「チンク姉は、戦いたくない敵っている?」

思わぬ質問に、チンクは一瞬言葉を失う。

「………そうだな。やはり手強い相手とはなるべくなら戦いを避けるだろうな。だが、戦闘となれば……」

「あ、いや、そうじゃなくって……その……敵に親切にされて、戦いたくないって事なんだけど……」

「……」

ディエチは気づかなかったが、ほんの一瞬、チンクの眼光が鋭くなった。

「実は昨日、クアットロとの待ち合わせ場所が分からなくて迷っていたら、一緒に探してくれた男の子がいたんだ。親切に最後までつき合ってくれて……でも、その子は管理局の……六課の隊員だったんだ。私の砲撃を1秒防いで、計画を邪魔した」

ディエチが苦しそうに言う。

「正直、あの子とは戦いたくない……何でこんな気持ちになるのかは分からないんだ。チンク姉、私はどうしたらいいのかな?」

ディエチが助けを求めるようにチンクを見る。

「…………」

チンクは目を閉じて思案する。そして、静かに口を開いた。

「確か、そいつはフロントだったな。ならディエチとは直接接触する事はないだろう。つまり、ディエチと戦う事はない。もし、そういう場面になったら、姉が戦う」

「……」

「それでもディエチが戦うしかなくなったら、思い出して欲しい。姉妹の事を。ディエチの中でどちらが大切かを。姉は、姉妹の為なら命を賭けて、戦いたくない相手でも戦う」

チンクのその言葉に、ディエチは俯いて考え込む。

「うん……そうだね。私も、姉妹の誰かが欠けても嫌だ。みんなで、ドクターを支えて行くんだ」

自分に言い聞かせるように、ディエチは言った。

「そうだ。偉いぞ、ディエチ」

チンクはそう言って、ディエチの頭を撫でた。





その後少し話をして、チンクはディエチと別れた。

「……」

チンクは歩きながら、罪悪感に苛まれていた。

(私がディエチに言った事は、問題のすり替えに過ぎない……ディエチが求めていた答えは違うと言うのに)

ディエチが悩んでいたのは、親切にしてくれた少年を傷つけないようにするにはどうすればいいか、と言う事だった。

だがチンクはそれを姉妹が傷つくのと、少年が傷つくのとではどちらがいいかと、本質の答えをすり替えたのだ。

(妹が人間らしい感情を知るのは喜ばしい事だが、今は邪魔にしかならない……ドクターの悲願がかなうまで、我慢してくれ)

妹を騙した事に、チンクは胸を痛めた。

「どうだった?」

そのチンクに、様子を遠めで見ていたトーレが話しかける。

「ああ、もう大丈夫だ。まだ吹っ切れてはいないかもしれ
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