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怖いお客さん
第一章

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               怖いお客さん
 家の主は飼い猫である戸田ミーコにある休日の朝言った。
「今日お客さんが来るから」
「私の知らない人?」
「だからね」
 人見知りのミーコに事前に話そうと思って今実際に話していた。
「あまり近寄らない方がいいよ」
「うん、わかったよ」
 ミーコは主の言葉に笑顔で応えた。
「そうするね」
「まあお会いしてもいいけれどね」
「そうなの」
「うん、ただね」
「ただ?」
「悪い人じゃないから怖がらないでね」
 このことも言うのだった。
「いいね」
「私人見知りするしね」
「だから言うんだよ、ミーコに怖がられたら」
 そうなればというのだ。
「その人も悲しむから」
「だからだね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「気をつけてね」
「怖がらない様にするよ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 ミーコはお客さんを怖がらない様にした、だが。
 十時位に来たそのお客さんを見てだ、ミーコは思わず飛び上がってしまった。そのうえで家の主に問うた。
「ご主人、大変だよ!」
「ああ、お客さん来てくれたね」
「あれお客さんじゃないよ!」
 こう言うのだった。
「絶対に!」
「いや、お客さんだよ」
「だってあの人」
 パンチパーマにサングラス、顔に向こう傷にだ。
 派手な柄のネクタイに赤いシャツ、白スーツに白エナメルの靴に首には金のネックレスに金時計にだ。肩をいからせて手はズボンのポケットにある。
 そしてあちこちに睨むを利かせる仕草を見てだ、ミーコは言ったのだ。
「ヤクザ屋さんだよ」
「ああ、外見だけだよ」
 主はまだ笑って言った。
「あの人は」
「本当?」
「図書館の学芸員さんなんだ」
「嘘だよね」
 ミーコは主のその言葉に即座に否定で返した。
「それは」
「いや、趣味は読書と音楽鑑賞、アニメの視聴でね」
「お酒とギャンブルと女遊びじゃないの」
「お酒は好きだけれど煙草しないんだ」
「危ないお薬売ってない?」
 ミーコは自分の知識から主に言っていった。
「そうじゃないの?」
「全然違うから」
「あの、背中に奇麗な刺青とか」
「ないよ」
「嘘だよね」
「いや、嘘じゃないから」
 そこは否定する主だった」
「僕嘘言わないよね」
「それでも」
 その外見を見ればというのだ。
「絶対にあの人は」
「ミーコあの人を外見で判断してない?」
 主もこのことに気付いた。
「それはあまりね」
「いや、どう見たってじゃない」
 古典的なまでにというのだ。
「あの人そっちの人だよ」
「だから人は外見で判断したらいけないよ」
 こうミーコに言うのだった。
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