暁 〜小説投稿サイト〜
虹にのらなかった男
P10
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い!離れろこの戦闘機擬きめ!』

接触回線でシャアの声がアブルホールに伝わる。

「ああ離れてやるとも!」

『こっ…子供だと!?』

アブルホールが赤いザクを蹴りつけた。

赤いザクはそのままコムサイに戻った。

だが、二機の通常機の内一機は、ガンダムに取りついて戻らない。

『アムロ!タイムアップよ!アムロ!』

「しょうがぁねぇなぁ!」

アベルはアブルホールをガンダムとザクに近づける。

アブルホールの蹴りを食らったザクが体勢を崩す。

「アムロ!ホワイトベースに戻れ!最悪は大気圏突入モード!説明しただろう!」

『わかりました!』

アムロはガンダムをホワイトベースの上部甲板につけた。

ハッチは既に閉まっている。

『少佐!シャア少佐!助けてください!シャア少佐ぁぁぁぁぁぁ!』

オープン回線でザクのパイロットの絶叫が響く。

「あぁぁ!もうっ!軍人だろうがそんな声でわめくなジオン兵!」

アベルが機体を燃え行くザクの真下につける。

やがてゴン…と音がアブルホールのコクピットに響く。

「胸糞わりぃから助けてやんよジオン野郎」

アブルホールの機体下部とテールユニットから冷却ガスが噴出される。

ガタガタと揺れるコクピットの中、ジオン軍所属のクラウン上等兵は困惑の最中だった。

何故、敵である自分を助けるのかと。

やがて、揺れが治まった。

『おい、生きてるかジオン野郎』

「ど、どうして助けたんだ」

『あぁん? ちょうどザクのジェネレータが欲しかったんだよ』

ぐらりとザクが揺れた。

アブルホールがホワイトベースへ近付いたのだ。

『ホワイトベース。ハッチ開けてくれ。
オマケ付きで帰還だぜ』

『第一、第二ハッチ解放。アブルホールは第一ハッチへ、ガンダムは第二ハッチへ』

今後、救われたクラウンの忠誠心がいったい何に向けられるか、それはまだ、誰も知らない。

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