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勇者たちの歴史
西暦編
第七話 タイム・リミットB
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 二〇十七年十二月十七日。
 
 丸亀城敷地内に、いくつもの声が響き渡る。
「――――――郡さん、左後方の警戒をお願いします!」
「分かったわ――――、――――甘い」
 硬質な音が響く。
 郡千景の振るう鎌が、飛来した矢を弾き飛ばしたのだ。もっとも、矢は先端にゴム製の保護材が付けられているため、刺さって怪我をすることはない。
 即座に射手を探す千景の後方から、新たな攻撃が放たれた。
 縁を先ほどの矢と同じ、ゴムの保護材のカバーで覆った旋刃盤が、高速で標的に迫る。
 その進行方向に割って入った若葉が、木刀を完璧なタイミングで抜き放った。
「はぁ――――!!」
 旋刃盤が木刀に弾かれ、持ち主の下へと戻っていく。
 すぐさま納刀し、次の攻撃に備える若葉の耳へ――――アラーム音が届いた。
「おっけー、二人とも時間だよ!」
 元気な声をあげて、タイマーを止めに行くのは高嶋友奈。
 標的、つまり一般市民役の人形へ三人が集まると、茂みと木の上から二つの人影が現れた。
 土居球子と伊予島杏の二人が若葉たちと合流したところで、簡単な反省会が始まる。
「じゃあ、これまで通り、襲撃役の二人から意見を頼む」
「お、わかった。じゃあ、タマからは一つ…………ぜんっぜん、当たらなくなったな! 一昨日に比べたら大違いだ、ぶっタマげだ!」
「そうですね。私から見ても、皆さんの動きがすごく良くなってるように思います」
 二人の意見に、友奈が嬉しそうに笑う。
「えへへ、昨日もぐんちゃんと若葉ちゃんと一緒にいっぱい練習したからね! ね、ぐんちゃん!」
「えぇ……そうね。確かに、昨日よりは……うまくできたと思う」
 千景の言葉に、若葉もしっかりと頷く。
 彼女も、特訓の成果を実感していた。二日前、訓練を始めた時とは比べ物にならないほど、全員よく動けるようになった。これならば大丈夫だろう、という思いもある。
 だが、慢心することはできない。
 他の訓練ではまだぎこちない部分はあるし、この訓練でもとっさの判断で迷わなくなったとは言い切れない。攻め手が二人でこれだというのに、本番を考えれば満足などできるはずもなかった。
「……よし、もう一度同じ内容で行って、それから休憩を入れよう。その後は、昨日と同じ移動訓練だ」
 若葉は、緩みそうになる気を張り直すように声をあげる。
 五人からそれぞれ了解が返り、再びセットされたタイマーが杭の上に置かれた。
「いっくよー! よーい、スタート――――って、わぁああ!?」
「はっはっは! どーだゆうな、ルールは破ってないからな!!」
「なッ、いきなり奇襲戦法だと……!?」
「昨日と同じね、それなら……どこかから伊予島さんの射撃が来るはず」
 今日五度目の護衛戦闘訓練は、球子の強襲によって攻め手有利の開
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