第5章:幽世と魔導師
第171話「残る謎と後始末」
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「優輝君!!」
アースラの転送で追いついてきた司が、真っ先に優輝の所へと行く。
少し後からアリシア達も追いついてきた。
「司……」
「……緋雪ちゃんと会ったの?」
「まぁ、な。……知ってたのか?」
その問いは、緋雪が現世にいた事についてだった。
主語のない問いだったが、司達はそれをきっちり理解して答える。
「うん。さっきエイミィさんから聞いて……それで急いで来たの」
「優輝が神降しをしていた時あたりに、学校で少し戦ってたんだって。その反応をエイミィさんが捉えて見つけたらしいよ」
「……そうか、学校も守ってくれたのか」
司とアリシアがエイミィから聞いた事を簡潔に伝える。
「ここにいるって聞いてたんだけど……」
「………」
司が辺りを見回しながら言うが、優輝はそれに構わずに手元を見る。
つい先ほどまで緋雪を抱きしめていた腕を。
その感触は確かに残っており、あれが夢でもないのだと実感させてくれた。
「……緋雪なら、幽世に帰ったよ。現世に留まれる時間が終わったらしい」
「っ……そっか……」
「引き留める……事は出来なかったのか」
「ああ。現世に留まるための“器”がない。幽世での肉体だけじゃ、現世にはいられないらしい。蘇生しようにも、こちらでの肉体がなければ意味がないしな」
魂を馴染む“器”に入れる事による蘇生は、グリモワールに載っていた。
だが、それを行う条件が揃っていなかったのだ。
もし揃っていれば、すぐにでも蘇生魔法を使っただろう。
「……そうか」
「死んでからとはいえ、幽世で緋雪は元気にしてるみたいだ」
「優輝が納得してるなら、僕から特に言う事はない」
クロノはそう言って、それ以上緋雪について聞かなかった。
優輝はあの僅かな再会の時間だけで、緋雪が元気にしているのを理解したのだ。
「(……それこそ、シュネーの頃の苦しみなんてなかったように、な)」
心の中で先ほどまでの緋雪の顔を思い浮かべながら、優輝はそう思った。
「じゃあ、アースラに戻るぞ。なのはと奏とは別に、君も検査を受けるべきだからな」
「ああ、わかった」
「それと……いや、こちらは検査の後で聞こう。とりあえず、休息するためにも……エイミィ!」
『準備出来てるよ!』
何かを言おうとして中断したクロノは、エイミィに通信で呼びかける。
すぐにエイミィは応答し、アースラへ行くための転送陣が現れた。
それを通り、優輝達はアースラへと帰還した。
「……体への負荷でボロボロだ
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