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ねここい
第15話
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ら羨む様な光景。
でも俺には猫ですから!








他の出し物を楽しむのなら、映画同好会の自作短編映画とかでも良いだろうに、何故に素人バンドを見学するのか不思議だった。
夏祭りで散財してしまった金の無い俺を気遣ってのことかと思ったが、演奏が始まって理由が解る。

何と蔵原がギターを演奏してるではないか!
ボーカルは1組の吉川だが、ギターを弾きながらコーラスも担当している蔵原。
そうか、だからクラスの出し物には余り顔を出さなかったんだな。
にしても、認めたくは無いが格好いい……

俺は同じクラスで何人か仲の良い男子が居るが、他のクラスの奴とはそれ程親しくない……
だが蔵原は社交的だからクラスとか関係なく仲良くなっている。
そんな絡みなのだろう……ギターが弾けるって事で声がかかったんだな。

だが惜しいのはボーカルじゃ無い事だ。
ボーカルの吉川も下手では無いのだけど、蔵原の歌声を聞いた事があれば奴の方がボーカルに向いてると分かる。
ギターを弾きながらだって歌は歌えるのだから、蔵原をギターだけ(コーラスもしてるけど)にするべきではないのでは?

あ、でもそうすると吉川の存在が不要になるのか……
皆で仲良く一つの物事を進めるには必要な措置なのかもしれないな。
何でも出来るって事が時には弊害をもたらすことになるんだな……勉強になった。

「あの大神さん。この歌は何という歌かご存じですか?」
「全っ然知らん!」
かなりの爆音に気圧されながら、白鳥さんが俺の耳元で大声で質問してくる……残念ながら答えられないけど。

因みに白鳥さんとは反対側の隣に居る渡辺さんにも尋ねてみたが、答えは同じだった。
音痴だからって事で避けていた所為で、全然無知になっている。
スッと答えられたら、それだけでも格好いいのだろうけど。

「この曲は“X JAPAN”ってグループの“Weak End”だよ白鳥さん」
突然、俺等の後ろに居た先輩が情報を提供してくれた。
しかも白鳥さんの事を存じ上げてるらしい。
何? ストーカー? 怖い!

「あ……ど、どうも」
白鳥さんも俺と同じ様に感じたのか、軽く会釈をして礼を言うと顔を背けて俺の方へ寄ってきた。
教えてくれるだけならまだしも、ワザワザ名前を呼ばれるのはやっぱり怖いよね。

「い、行こうか……」
この爆音と騒がしいだけの歓声から逃げたくなったのもあるが、何かストーカーっぽいのが後ろに居るから白鳥さんと渡辺さんに声をかけて退散する旨を伝える。

勿論二人も同意見だったらしく、俺の腕にしがみつきながら蔵原等の演奏に熱狂してる人混みを掻き分けて体育館出口へと向かう。
チラッとだけストーカーっぽい先輩を見たが、凄く残念そうな顔をしていた。どうか追ってこな
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