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般若の面
第一章
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               般若の面
 近頃街で怪しい噂が流れている、夜な夜な街に見事な着物を着て鬼の面を被った怪しい者が徘徊しているというのだ。
 その話を聞いてだ、所轄の書の刑事の一人が署長に言われた。
「市民の人達からも何かと言われていてね」
「それで、ですか」
「そうだ、警部君にだ」
 刑事の階級を出して言うのだった。
「このことで捜査をしてな」
「解決をですね」
「してくれるか、犯罪とは関係ない様だが」
「不審者としてですね」
「苦情、通報までな」
「届いているからですか」
「だからだよ」
 それでというのだ。
「君に頼みたい」
「わかりました」
 警部は署長に即座に答えた。
「それでは」
「うむ、ではな」
「はい、捜査をして」
「そしてだな」
「調査を行い」
 そうしてというのだ。
「解決してみせます」
「そうしてくれ、本来警察は犯罪が起こらないと動けないが」
 署長は自分の席の前に直立しているスーツの初老の男にぼやく感じで述べた。
「しかし」
「それでもですね」
「市民の人達から通報があるからな」
「それで不審者もですね」
「色々対策をしないといけないからな」
「そういうことですね」
「では頼むぞ」
「はい、それでは」
 警部も頷いてだ、そうしてだった。
 その着物に鬼の面の不審者への捜査をはじめた、部下として若い制服の巡査がついたが彼と共にだった。
 夜にその不審者を見たという辺りを見て回った、その中で巡査は警部に対してこんなことを言った。
「夜にそんな恰好で街を歩くとか」
「着物に鬼の面だな」
「時代劇ですか?」
 こう言うのだった。
「そんな感じですよね」
「そうだな、もうな」
「はい、それで刀でも出したら」
「辻斬りか敵討ちでな」
「そのまんま時代劇ですよ」
 まさにというのだ。
「本当に」
「それでその時代錯誤な奴がな」
「最近夜の街に出て」
「塾帰りの子供やランニング中のおじさんおばさんをびっくりさせているんだ」
「コンビニの前を通ったり」
 目撃者達に話を聞くとそうなっていた。
「そうしていますね」
「愉快犯ならいいがな」
「実際にやばい奴ならですね」
「世の中おかしな奴もいるからな」
 残念だが現実としてそうした輩も存在している。
「通り魔なり何なりな」
「おかしな恰好をしておかしなことをしようとする」
「そんな奴がいてな」
「おかしなことをする前にですね」
「止めないとな」
「何かあってからじゃ遅いですからね」
「ああ、警察は事件が起こってからじゃないと動けないがな」
 警部もこのことはわかっていた。
「しかしな」
「事件を起こさせない様にすることも仕事ですね」
「あからさまにやばい奴は事
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