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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
序章 新朝始歌
第二十九話 王妃冊立
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戻るのを阻んでいるはずだ。

「お主も知っていよう。パルス暦20年にデマヴァント山のカイ・ホスロー王の墓に宝剣ルクナバードを収めた際、『一枚を十五年、二十枚を三百年』とのザッハークらしき声が聞こえたという話を。今年はパルス暦320年。ちょうどそれから三百年だ!」

「!」

「尤も、すぐにという訳でもないらしい。ルクナバードのお陰もあってあと数年は平気かもしれん。だがな、ザッハーク一味、奴らは危険だ。尊師という指導者を含めあと六人のはずだが、どいつも魔道の使い手だ。正攻法で太刀打ちできる相手ではない。諜者たちでも一対一では苦しいだろうさ」

「そ、そうなのですか?」

ラクシュ殿や三人娘さんたちなどはかなりの強者のように思えるのだけれど。

「諜者は別に魔道を専門に学んだ訳ではないからな。それに比べ奴らは魔道に特化し、しかも蛇王を信仰することで特殊な力を与えられているかもしれんし、力の差が計れんのだ。グルガーンを潜入させて調べさせてはいるが、未だ全貌を掴んだとは言えない。警戒するに越したことはないさ。で、そいつらと、そして特にザッハーク本人と戦う場合に関し、くれぐれも言っておきたいことがあってな。いいか、よく聞けよ!」

「は、はい」

何だろう?絶対に聞き逃すなと言わんばかりの気迫を感じる。

「いいか、絶対に、相討ちでもいいだなんて考えるな!自分だけでは相討ちが精一杯だと思うなら、必ず他の奴の力も借りろ!どだいあの連中は普通の人間じゃないんだ。元々力の差があるんだ。一対一じゃなくても、それは決して恥でも、卑怯でもないんだからな!これは他の奴らにも徹底させろ!絶対に一人だけで戦わせるな!他の奴らにだっていずれは家族が出来るんだ。家族を泣かすなとな!」

「…でもザッハークさえ、奴さえ倒せれば、私なんてどうなったって構いません!それにラジェンドラ殿、貴方にだったら安心して後を託せます!」

それで平和になるのなら、その為だったら、私は命ぐらい幾らだって賭けられる。それに貴方ならきっと私の志を引き継いでくれる。ならば何の心残りもない。

「ふん、お主ならそんなことを言いそうだと思っていたさ。だがな、エステルはどうする?」

「はい?エステルですか?」

ここで何故、エステルの話になるのだろう?

「エステルは騎士の家に一人っ子として生まれた。従軍して武勲を立てて家格を高め、それなりの騎士を婿に取って、それで家を存続させる。そんな心づもりだったろうけどな。お主を庇ったことで余りに酷い傷が残ってしまった。そんな娘のところにそれなりの騎士なんて婿に来てくれると思うか?」

「そ、それは…」

「そうと知ったらエステルの実家は躊躇なく養子でも取って、エステルをお払い箱にするだろうさ。哀れエステルは何処
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