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汝(なれ)の名は。(君の名は。)
02現代のシヨウ
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い、土壌菌も違い、蜂や虫も違い、土地も暑さも水も違い、ほんの少しの変化で実りをもたらさない。
 渡来人や中国の亡国から種籾や麦を持って来たとしても、実験的に植えて、別の土地に偶然根付いた物しか次の種籾に使えない、その歩みは牛歩よりも遅い。

「お前、そのまま学校に行くつもりか?」
「おお、そうさせてもらう」
 祖母の一葉がいた頃には、もう一度寝かせたり午前中休ませて祈祷などして憑き物を落としていた。
 姉がいた頃には手刀の一閃や真空飛び膝蹴り、(ハイキック)りで気絶させてから、背中に活を入れて気付け、と言うサイクルで憑き物を落としていたが、父にはその技術も思想も無かった。
 引き取ってから医者に見せると「多重人格ではないか?」と疑われ、その原因となる「暴力的な父親による幼い頃からの虐待で人格分裂」「母親の恋人である継父がいれば、やっぱり虐待で分裂」「実の父親や継父による性的虐待」で人格が分裂してしまったのではないかと思われ、即座に児童相談所に通報された。
 本人の面接で誤解は解けたが、市会議員程度でも政治家にそこまでのスキャンダルがあれば即座にリコールされて失職、二度と公職には就けず、被選挙権を永遠に失う。
 そこで父は、体面とか世間体を保つためにも、四葉の姉の三葉(みつは)に通報した。

 現在の女子高生らしく、防水もされていないアイフォンを持っている四葉。そこに早朝から姉の電話が入った。
「おお、姉上か、久しいのう」
 自分の体と同じなので、携帯とかスマホの操作は体が覚えている。
 紀元前の実家の姉とは、巫女を引退してからも毎日社で顔を突き合わせているが、こちらの姉とは暫く顔を合わせていない。
 東京で、恋愛に就職に職場に、都会の無縁社会やマンションの管理組合とか男関係とか現代社会に疲れ果て、ズタボロになってリスカとかスイミンヤクとか東尋坊旅行なんかしちゃったり、下手すると結婚とか婚約にも一度くらいは失敗して、バツイチになっていそうな姉。

 毎回、新海監督の、そんな特殊性癖に唖然とさせられ、「秒速5センチメートル」辺りでも、好きだった幼馴染が東京に出て恋愛体験も性体験も何度も済ませて、その間もずっとヒロインが好きで、何ならもう一人の幼馴染と結ばれてNTRしていて、最後の最後にヤル事全部済ませてから自分の所に来てくれれば良いんだとか、ヒロインの処女性に全く拘っていないと言うか、処女大嫌いな人。
 拳王様ぐらいのオトコマエで、「どれだけ汚れようとも、最期にワシの横に立っていれば良い」ぐらいの恋愛観。
 多分どこかの「未亡人下宿のピヨピヨのエプロンした管理人」とか「絶対にイケメンの元恋人とズタズタの恋愛をしていたキズモノキャラで、現恋人とは絶対に寝ないし関係を一切発展させない鬼娘」にでも悩殺されたと思われる恋愛観。

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