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オズのガラスの猫
第八幕その八

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「あんた虫歯はどうなったのかしら」
「はい、あの後歯医者さんの治療を受けまして」
「治ったのね」
「はい、そしてです」
「今は何ともないのね」
「それでもう二度と虫歯になりたくないので」
 こう思ってというのです。
「毎日歯を磨いています」
「そうしてるのね」
「以前は磨いていませんでしたが」
「それで甘いものを飲んで食べてで」
「虫歯になりましたが」
 それがというのです。
「痛くて苦しんで困ったので」
「もう二度と虫歯になりたくないのでよね」
「はい、今は食事の後はです」
「絶対になのね」
「歯を磨いています」
 毎食後というのです。
「そうしています」
「それは何よりね」
「それで今はもう」
「虫歯にならずに」
「食事、甘いものもです」
「楽しんでいるのね」
「虫歯の心配もなく」
 トミーはガラスの猫ににこにことしてお話をします。
「そうしています」
「それは何よりね」
「もう虫歯の心配はありません」
 まさにというのです、そしてです。
 トミーはガラスの猫にこうも言いました。
「虫歯程もう二度とならないと誓えるものはないですね」
「そんなに痛くて困るの」
「寝ている時も痛んで」
 そうなってというのです。
「物凄くです」
「辛いのね」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「二度と思います」
「そこはあたしにはわからないことね」
「あたしもね」
「私もーーです」
 ガラスの猫だけでなくつぎはぎ娘とチクタクもでした。
「食べないーーですーーから」
「そうした歯でもないしね」
「縁がないことね」
「そうですね、しかし私も他のオズの国の方々も」
 オズの国でも大抵の人はというのです。
「大抵は」
「食べるからね」
「歯磨きが必要です、食事を楽しめるなら」
「歯磨きはなのね」
「必要です、そのことを認識しました」
 虫歯になってというのです。
「そうなりました」
「そうなのね」
「はい、まことに」
「ううん、何か食べることにまつわることはね」
 ガラスの猫は首を傾げさせて言いました。
「あたしはわからないわね」
「そこは人それぞれですね」
「そうよね、ただね」
「そうしたことはですね」
「別にね」
 これといってというのです。
「あたしは何とも思わないわ」
「羨ましいとはですね」
「あたしは誰も何も羨まないの」
 トミーにもこう言うのでした。
「だってあたしのこのガラスの身体は最高だから」
「それで、ですね」
「このことにいつも満足しているから」
 それもこれ以上はないまでにです。
「だからね」
「誰かを、何かを羨むことはですね」
「羨むって言葉は知ってるわ」
 このこと自体はというのです。
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