第53話 グランセル城での戦い
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いの拳をコツンとぶつけて、二人は笑みを浮かべた。
「ヨシュアさん、こちらは準備できました……おや?」
「ふむ、邪魔だったようだな」
「若い男女が決戦を前に惹かれ合う姿は、実に美しい光景だね」
「お前さんは少し無粋だがな」
「あはは……」
そこに顔を赤くしたリィンとラウラ、ニヤニヤと二人を見るオリビエ、そんなオリビエにため息をつくジン、そしてちょっと複雑そうな表情を浮かべて苦笑いをするクローゼが現れた。
「うえェ!?皆、いつの間にそこにいたの?」
「すみません、お二人がいい感じで話されていたので、声をかけづらかったもので……」
「うぅ、恥ずかしいわ……」
自分達の話を聞かれていた驚くエステルに、リィンは頬をポリポリと掻いて謝った。
「でも本当に宜しいのでしょうか。皆さんに危険な事をさせてしまうというのに、私だけが安全な場所で待機してて……」
クローゼも作戦に参加したかったようだが、これから大規模な戦いが起こる場所に王族の人間を向かわせるのは危険すぎるとユリアに反対されてしまった。彼女はヨシュア達のチームと共にグランセル市街に向かい、帝国の大使館で保護してもらう算段になった。
だがクローゼは自分が依頼したことで、親衛隊や遊撃士達に危険が及ぶことになったのに、自分だけが安全な所で待つことに罪悪感を感じているようだ。
「クローゼさん、何も武器を持って戦う事だけが全てではありませんよ」
「リートさん……?」
そんなクローゼに対して、リィンが声をかけた。
「貴方は王族として、いずれこの国を治めていかなければならない方です。だからこそ貴方は生きなければならない、ここで危険な戦いをするのではなく未来の為に耐え忍んでください。大丈夫、貴方が大切に思う人は俺達が必ず助けますから」
「リートさん……」
リィンは武器を持って戦う事が全てではないとクローゼに話した。
「……そうですね、私は生きなければなりません。いずれこの国を背負っていく者として。皆さん、無力な私の代わりにどうかお婆様を……私の家族をお願いします」
リィンの言葉にクローゼは自分のするべきことを見出したのか、戦いに付いていくことを断念した。そしてエステル達にアリシア女王陛下を頼むと頭を下げた。
「任せて!あたし達が必ず女王陛下を救出してみせるわ!」
「約束するよ、僕達を含めた全員が生きて君の元に帰るってね」
「……はい!」
エステルとヨシュアの言葉に、クローゼは涙を流しながら笑みを浮かべた。
「エステル、飛行艇の準備は出来たわよ……ってあら、なんかいい雰囲気ね」
「ん、決戦前だけどこういうのは嫌いじゃないかな」
そこに
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