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東方刑務所の人狼ゲーム
残り一人のジンロウを探して〜一条輝side〜

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 残り一人の人狼は、今日は誰を襲うのだろう。聖月?一鶴?達也くん?それとも俺?
 四日目の夜、猿也を殺した聖月はきっと明日の朝すぐに墓をつくりに部屋を出る。それと共に、今日の人狼の襲撃で死んだヤツの墓もつくるのだろう。
 聖月はきっと自分の行ったことを後悔している。「なんで自分は猿也を殺したのだ」と、自分で自分を問い詰めている。
 だが二日目の朝、セブンくんの墓の前で泣いている聖月を見て慰めてやりたいと思った自分はもういない。
 今はひたすら自分の勝利のために、自分が生きる為に邪魔なヤツを狂人や人狼に見立てて殺して行っている。明日は達也くんを、その次の日には聖月を人狼・狂人として俺は殺す。
 得た信頼なんてどうでもいい。ただただ運営側の期待に応える為にここは悪者として一役買ってやろうというだけだ。
 恐らく、残り一人の人狼は今日、陽くんを襲う。そうしたら後は村人陣営が三人、人狼陣営が二人で、明日のうちに勝負を決めることができる。
 だが―――――――


五日目 朝 犠牲者なし


 その朝は初めて雨が降っていた。
 全員で墓の前に集まって、黙って手を合わせる。最初には無かった墓だが、今では五つに増えている。
 ザァザァという雨の音と時間だけが過ぎてゆく今、出来る事なら早く達也くんを人狼として見立てて殺したい。だけど雨に混ざって流れる涙がそうはさせてくれなかった。
「……今日、陽が襲撃に遭ったんだって。だけど、狩人さんが守ってくれて、陽は無事だったよ。だから安心してね、雷。陽は大丈夫だよ。私がしっかり見ているから、安心して大丈夫だよ。
……セブンも、そろそろ暇になって来たよね。こういう時に何か遊べるものでも用意して遊べたら雨も吹っ飛ぶくらい楽しいよね。後で一緒に賭け事でもしてあげるよ。たまには一緒に、ね。
……レン、ダイヤ。お腹すいた?もうちょっとだけ待っていてね。もうちょっとで終わるからね。沢山食べるものを用意してあげるから、もうちょっと我慢して待っていてね。
……猿也。昨日はごめんなさい。後で反省文でも何でもいいから、とにかく何か罰をください。本当にごめんなさい。私がもっと早くカミングアウトするように言えばよかったよね。……ごめんなさい」
そんな顔しないでくれ、聖月。悲しそうな顔をしないでくれ。
頼む……お願いだから……


これ以上俺に近づかないでくれ。

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