暁 〜小説投稿サイト〜
ノーゲーム・ノーライフ・ディファレンシア
第5話 過去と少年
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
行った。
拾った石を、空へ放り投げる。高く高く、空へ近づいていく。
そして────空中で何故か漂っていたジブリールに当たり、またも実験は阻止された。

「……えっ」
「おやぁ?先ほどのお客様ではございませんか♪」

想定外の事態に呆けたシグを、目の前で膨らむ殺意が叩いた。
質量を持ったかのような視線────神殺しの兵器が向ける殺気。そんな次元違いの感情に当てられて平気でいられるほど、人類種のメンタルは強くない。

「────やべえ逃げろッ」

シグは、逃走する事を即断した。
パルクールを今すぐ勧められそうな身のこなしで、実験も中断してその場を離れるシグ。その様子を見て────ジブリールは、ぽつりと呟いた。

「今の目は理性的でございました……つまり逃走は、恐怖故の行動では無いという事ですか。
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()────そもそもそんな事が出来る時点で、ただの人類種では有り得ません。
やはり彼は────シグは、警戒に値する敵でございますね」

ジブリールは、逃げ出すシグの目がまるで恐怖に染まっていない事に気づいた。つまり、シグは恐怖に駆られた()()()()()逃げ出したのだ。
シグは、何故ジブリールがここにいるのかを理解したのだろう。それ故に、理性的にここを離れるべきと判断したのだろう。ならばシグは、少なくともジブリールの意図を読めるだけのゲーマーではあるという事だ。ジブリールはそうシグを評し────要警戒、そう判断してシグの後を追った。



「危ねえ……警戒されてたな……」

シグは、息を少し切らしながら呟いた。()()()()()()()()()()()()()、それに気づけなかった事を悔やむ言葉だった。
────ジブリールがなぜ、あの場にいたのか。
偶然、とは考えられない。そもそもジブリールは空間転移(シフト)が出来る。あんなところでふらふらとする理由がないのだ。
つまり、ジブリールは街道(ばしょ)ではなく────そこにいる誰か(おれ)を目的としていたと、逆説的に考える事が出来る。先ほど俺は『  』の喉元に迫った、故にジブリールが『主にとっての脅威』と俺を認識したなら────監視する理由には十分だろう。
俺以外の誰かを監視していた可能性は────恐らくは無いだろう。俺以外の誰かを監視
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ