暁 〜小説投稿サイト〜
ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百十三話 帝国軍にまた新たな元帥が誕生します。
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
 フィオーナはほうっとその名前を口の中でつぶやく。銀河帝国の正規軍の事実上の最高責任者であると同時に実働部隊の長である。その重責はとてつもなく重い。ゴールデンバウム王朝では絶対に女性などはつけなかった職である。そんな職になぜ自分が付いたのかわからなかったが、いずれはミッターマイヤーに引き継ぐこととなるだろう。彼が動きやすいように余計なしがらみを掃除することこそが自分の役目なのだとフィオーナは言い聞かせていた。

「フィオーナ・フォン・エリーセル殿!!」

 フィオーナの名前が扉越しに高らかに叫ばれる。そして「ワルキューレは汝の勇気を愛せり」が静かに奏され始めた。こういうところはゴールデンバウム王朝の代替わりがあっても相変わらずであるが、その格式の高さと荘厳さは今回の場合とてもマッチングしていたと言っていいだろう。

「さぁ、フィオ。」

 ティアナが優しく、力強く促す。ギイと重々しい音を立てて扉が開かれ、息を一つすったフィオーナは荘厳な玉座に向かって足を進め始めた。サッシュ、そして肩章を身に着け、ライトブルーのマントをはためかせ、剣を腰に下げた彼女は外側からみれば前世の騎士そのものだっただろう。

 端正な愛らしい横顔が朝日の光を受けて美しく輝きを放ちながら居並ぶ文官武官の前を通り過ぎていく。硬すぎず柔らかすぎもせず、フィオーナの顔はいつものフィオーナの顔であった。この荘厳な間の空気に触れていても、穏やかな灰色の瞳は臆することなくまっすぐに、ラインハルトの元を目指していく。正確にはラインハルトが右わきに佇立する玉座のカザリン・ケートヘン女帝を目指しているのだが。

 ふと、武官の最前列を通る際に、イルーナ・フォン・ヴァンクラフトと目が合った。一瞬だったが、彼女が柔らかく微笑んだような気がした。

「フロイレイン・フィオーナ。」

 ひざまずいたフィオーナの頭上から声がふってきた。

「この度の昇進を陛下に代わり、私自らが伝えられること、嬉しく思う。願わくばゴールデンバウム王朝、いや、この銀河帝国の柱石となり、末永く支えて行ってほしい。」

 ゴールデンバウム王朝を銀河帝国と言い換えた意図は、ラインハルトとそのローエングラム陣営にはすぐにわかることだった。

「陛下。」

 フィオーナは頭を垂れた。ラインハルトは傍らの侍従が捧げるクッションから羊皮紙をとり、ゆっくりと読み上げた。

「ブラウンシュヴァイク討伐による多大な功績により、フィオーナ・フォン・エリーセルを帝国元帥に叙する。また、同時にフロイレイン・フィオーナを宇宙艦隊司令長官に任じ、宇宙艦隊の全軍をフロイレインの指揮下に置くものとする。帝国歴488年5月11日、銀河帝国皇帝カザリン・ケートヘン1世。」

 最後の銀河帝国皇帝の下りでやや皮肉な色が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ