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たったそれだけ
第三章

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「何がたっただよ」
「人力でやってたんだろ、あそこは」
「重機を投入した地域もあったけれどな」
「重機がなかっただろ、あそこは」
「それでたった、かよ」
「じゃあ御前等が雪かきしろよ」
「自衛隊の人達より出来るんだよな」
 即座にネットでこの発言の動画があげられ批判が殺到した。
「そもそも東京で言うな」
「青森は今大変なんだぞ」
「どうせ暖かい部屋で映像見ながら言ってるだけだろ」
「青森はとんでもなく寒いぞ」
「それで大雪なんだぞ」
 こう言い合うのだった、それでだった。
 その報道番組の関係者はネットで集中砲火を浴びた、その話を聞いてだった。
 知事は自ら雪かきの指揮をしつつだ、大雪の中でこう言った。
「そこまで言うならな」
「はい、そうですよね」
「自分で、ですよね」
「雪かきしてみろですよね」
「この大雪を」
「それも人力で」
「たったじゃない」
 知事は言い切った。
「あれだけの距離を除雪してくれたんだ」
「はい、自衛隊の人達は」
「物凄く頑張ってくれて」
「そうしてくれました」
「人力でな」
 後は数と組織力を使ってだ。
「そうしたんだ」
「その通りです」
「それで何でそう言うのか」
「無神経ですよ」
「本当に」
「元々自衛隊が嫌いだからな、あのテレビ局は」
 その報道番組を持っているテレビ局はというのだ。
「だからな」
「そう言ったんですね」
「たったとか」
「もう自衛隊が嫌いだから」
「そう言ったんですね」
「そうだろう」
 こう読んでいた、知事は。
「そうした人間はマスコミに多いからな」
「学校の先生とか労働組合にも」
「結構いますからね」
「それで、ですね」
「ああして言ったんですね」
「何がたったなんだ」
 知事は今度は苦い声で言った。
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